お母さんが一つひとつ愛情を込めて作るおにぎり専門店は、お昼の2時間で100個近く売れるほどの大盛況です。そんな人気店にも全国的なコメ不足が影響を与えていました。

■長男の提案で開店「挑戦が好き」

 ふっくらと炊きあがったごはんを、ふんわり丸く握ったおにぎり。東京・府中市のおにぎり専門店「まんまるおにぎり」の看板商品です。

 新潟県産のコシヒカリを使ったおにぎりは、およそ180グラムとボリューミー。ごはんの中にたっぷりと入っている具材は週替わりのものも含めて、およそ10種類から選べます。

 中でも人気のメニューが塩昆布とごま油、自家製の天かすを混ぜた「うま天」です。

 おにぎりは、昆布とかつおでとった“黄金だし”に入れて、お茶漬けにして楽しむこともできます。

 満足感のある大きさながら、全品1個300円という財布に優しい値段。プラス150円で味噌汁と漬物を付けることもできます。

 店の一番のこだわりが「炊き立て・できたて・握りたて」。土鍋で15分ごとに炊き上がるようにスケジュールを組んでいます。

店長 吉田貴子さん(68) 「保温したらどんどん劣化していくでしょ。だから炊き立てを。やっぱりね、最後は愛情なのよ」

 こう話すのは、店長の吉田貴子さん。4人の子どもを育てた母親です。

 貴子さんの料理を食べて育ったオーナー・長男の靖見さん(37)も、その腕前に太鼓判を押します。

靖見さん 「お母さんのご飯がすごくおいしくて。実家でもできたてのご飯を出してくれていた」

 実は貴子さんに店を開くよう提案をしたのも靖見さんだといいます。

靖見さん 「10年前に父が亡くなって、子どもたちも全員独り立ちして少し寂しそうだったので、だったらお店やったら?って」

貴子さん 「すぐやるって、即決。挑戦するのが好き」

■営業時間2時間も…100個売れるほどの人気ぶり

 30年以上専業主婦として過ごし、店を持つなんて想像もしていなかったという貴子さん。おにぎり店の切り盛りという“第2の人生”がスタートしました。

 社員食堂を経営する会社の社長をしている靖見さんが店のオーナーとなり、他の子どもたちも母親の挑戦をサポート。ポスターやメニュー表の作成、SNSの運用など、家族一丸となって行っています。

靖見さん 「お母さんがやるっていうので、皆ちょっとでも力になりたいって」

 握り方や米の種類、具材選びなど、研究に研究を重ねた末に、2年前に店をオープンしました。

 営業時間は、午前11時30分から午後1時30分までの2時間だけですが、ひっきりなしに客が訪れ、多い時はおにぎりが100個近く売れるほどの人気ぶりです。

■仕入れ値が1割以上↑も300円維持

 すっかり地域の憩いの場となっている「まんまるおにぎり」ですが、最近、頭を悩ませているのが「令和のコメ騒動」とも呼ばれるコメ不足の影響です。

貴子さん 「お米大丈夫?なんて聞かれます。私も先月スーパーに行ったら棚にお米が1つも並んでなかった」

靖見さん 「(去年と比べて仕入れ値が)1割以上は上がってます。社員食堂で取引している業者さんに、こちらにも安く納品してもらったり」

 靖見さんの会社が卸業者と年間契約を結んでコメを仕入れ、店でもそのコメを使っているため、今のところ不足はしていませんが…。

靖見さん 「新米が出てきても取り合いになって、コメ不足が加速していくのではと心配」

 さらに、具材やのりなども値上がりしていますが、何とか1個300円を維持しています。

貴子さん 「やっぱり(値段を)上げてうれしい人はいないので。学生さんも多いので」

客(30代) 「いろいろな種類を選べて、この値段なのですごい助かってます」

客(8) 「おいしい。ほかほか」

 貴子さんが作るアットホームな雰囲気も店の魅力の1つです。

貴子さん 「BTSのファンなの」

客 「一緒です」

貴子さん 「誰が好きなの?テテ?」

 常に客とおにぎりのことを考えているという貴子さん。

貴子さん 「一口食べると皆おいしいって言う。それが本当にやりがい。『おいしい、ありがとう』、こちらこそありがとう」

(「グッド!モーニング」2024年8月31日放送分より)