能登半島地震からまもなく1年にも関わらず増える「長期避難世帯」。取材でみえてきた復旧・復興に時間がかかるわけとは…(12月28日OA「サタデーステーション」)
■「長期避難世帯」なぜ?孤立集落に同行
能登半島地震の被害は、28日時点で死者504人被害住宅15万棟以上にのぼります。そしてこの先数年、自宅に帰ることができないのが「長期避難世帯」です。 私たちが出会った高野晧さん(80)は長期避難世帯に認定されています。住んでいた自宅は孤立状態が続く輪島市寺山地区。
長期避難世帯 高野晧さん(80) 「仮説住宅の部屋は4畳半ちょっと。娘家族は 正月は必ず来ていたけどこんな状態だから来ない」
高野さんは奥さんを12年前に亡くし、2人いる子どもはどちらも県外。今年の年末年始は1人で過ごすといいます。
長期避難世帯 高野晧さん(80) 「自宅に戻って生活するまでには5年かかる」
一体なぜ時間がかかるのか。寺山地区に向かう高野さんに同行しました。山々に囲まれ、地震と豪雨被害が手付かずで残る寺山地区の集落。寺山地区では、37もの世帯が「長期避難世帯」に認定。石川県全体では、231世帯にものぼっています。
長期避難世帯 高野晧さん(80) 「この家です。もう玄関も塞いでしまって。電気はつきません。水道も出ません。普通だとお正月の準備もするんだけど。あっという間に、いっぺんに変わってしまった」
代々受け継いできた仏壇は半分壊れた状態。自宅は半壊ですが、このままだと、復旧を待つ間に、住めない状態になってしまうといいます。
■復旧が進まない大きな理由「土砂災害で道路が…」
長期避難世帯 高野晧さん(80) 「大変な土砂崩れでとても人間が通れるような状態ではない」
寺山地区では、メインの道路が通行できず、林道も倒木などにより車で入ることができません。さらに、林道は大型の重機が通れる道幅ではなく、土砂崩れの復旧作業に時間がかかるため、完全復旧には最大5年を要するといいます。
長期避難世帯 高野晧さん(80) 「私たちは本当、復旧の入り口にもまだおらん状態なんですよ。とてもじゃないけど5年も待っておれません。高齢者が多いから、5年経てば相当の方が亡くなってしまいますよ」
■「被害箇所の多さ」と「天候」の問題も
輪島市土木課 延命公丈課長 「災害査定での件数でいえば1304件(19日時点)。箇所数ではないので、査定件数プラス箇所数がある」
地震と豪雨被害での災害申請件数は道路や河川などで1300件以上。中でも山間部の道路が多い輪島では土砂崩れの被害が甚大で、未だに95の路線が通行止めとなっています。
輪島市土木課 延命公丈課長 「今年は大雪という話もあるので、除雪することになれば時間がかかってしまう。なかなか難しいところだと思いますが、全部復旧ということになれば10年近くになってしまう可能性もある」
■避難の長期化で「災害関連死」増加
輪島市社会福祉協議会 曽根範子 「やっぱり疲れが溜まっているのが大きいです。メンタル系の不調を抱えたりとか、これから生きる気力を失ってしまったり」
未だに13人が避難生活を送る公民館では体調を見回る活動がおこなわれていました。災害関連死の数は、すでに直接死を上回っています。
輪島市社会福祉協議会 曽根範子 「気持ちを吐き出せる場所になれば、ストレスの病気とかいろんな病気にもかかりにくくなるかもしれないですし、そういう形で力になれたらいいなと思います」