「断層が大きくずれ動いた周辺では、数十年単位で活発な活動が続く」東日本大震災で得られた見解が、海外の超巨大地震にも共通していることが発表されました。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「(東日本大震災の震源域は)かなり広いので、どういう地域で長期間余震が起きやすいのか、地震活動が活発化している状況が続くのか、逆にどういう地域で今後は静かになるのか、その辺コントラスト(地域的な差)を見出すために研究を行いました」

 「東北で確立された考え方とかモデルというのが、他の巨大地震でも見えてきたと」

 地震のメカニズムの専門家で東北大学の遠田晋次教授は、東日本大震災から2021年までに大きな地震が相次いだ原因を突き止めるため、マグニチュード3以上の地震活動を分析しました。

 その結果、震源域内での地震活動は東日本大震災の前後で比べると、大きく断層がずれ動いた領域ではほとんど起きていない一方、震源域の周辺では活動が活発化していることが分かりました。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「グレーで塗ったところが3.11のマグニチュード9の巨大地震を起こした時に大きくずれ動いた(断層の領域)」

 「3.11直後の余震は、全域でかなり広い地域でたくさん起きてますね。最近5年くらいを見ていただくと、M3以上の地震の数はかなり減っているのが分かると思います」

 「特にグレーで塗られた大きくずれ動いた所では(M3以上の地震は)もうちょっとしか見えない。逆のこの周辺域ではまだまだたくさん点があると。「福島沖(地震)もそう(大きくずれ動いた周辺)なんですけど」

 この傾向をチリやアメリカなどで過去に発生した超巨大地震で検証したところ、いずれの地震活動も震源域内では落ち着いているのに対し、震源域の周辺では、少なくとも数十年単位で活発な状態が続いていることが分かりました。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「(インドンネシアの)スマトラ、2004年ですが大きく滑った所。その周辺で地震は多いんですけど、ここでは全体的に少ないですね」

 「あと、チリですね。大きく断層が滑った所、プレート境界がずれ動いた所は地震は少ないんですけど、その周辺で多いと」

 この見解は、国際的な科学雑誌ネイチャーに掲載されました。

 地震の観測データが十分とはいえない海外の巨大地震でも、今後の地震活動を長期的に評価する上で重要な目安になり得ると話します。

 東北大学災害科学国際研究所遠田晋次教授「日本のこの巨大地震の後の状況から学んだことを、今度は他の地域のそういったプレートの境界の近くに住んでいる国々に役立ててもらえるのではないかと考えています」