台風10号が列島の至る所で大雨を降らせています。台風本体からは遠く離れているのに一体なぜ。

■静岡で土砂崩れ フェンスなぎ倒す

 雨がたたき付けているのは静岡です。

 鹿児島の奄美に接近している台風10号。遠く離れた本州でも、すでに激しい雨が降り始めています。

和菓子店 「(台風から)離れていても土砂降りになる…。(早く)抜けてくれると思ったがノロノロしている」

 台風上陸前から被害も出ています。

 今にも崩れそうな土砂。物置でしょうか、大きく傾いています。以前の地図と比較すると、木々が根こそぎ流され、土砂がむき出しになった様子が分かります。

 浜松市の天竜地区では土砂崩れが起き、周辺では一部に避難指示が出ました。これから来る恐れのある台風に不安は募ります。

周辺の住民 「まだ2日ぐらい怖いんで避難しようかなと思っている。もう80歳過ぎているから、おっかなくてやたら震えてる」

 愛知県の田原では24時間雨量が200ミリを超え、8月1カ月分の2倍を超えています。

■“大動脈ストップ”混乱 関東で警報も

 東西を結ぶ大動脈も混乱は続きます。

アナウンス 「東海道新幹線は浜松から豊橋で大雨のため運転を見合わせています」

 「いつ列車が来るか未定です」と記された案内板。東海道新幹線は一部区間で一時、運転を見合わせました。

駅員 「いつ来るか全く分からないので」

 雨は関東でも。水戸市内でも午後になり、雨が降り始めます。

■観測史上1位の大雨 北海道で冠水も

 雨は本州だけの話ではありません。北海道の幌延や厚真では観測史上1位となる激しい雨を観測。

駐車場が浸水した人 「外見たら波のように揺れて、水が。怖かった」

 苫小牧では道路が冠水し、七飯町では土砂が崩れ、道路が通行止めになりました。

 函館市内の突然の雨。かばんやハンカチで雨をしのぎます。

秋田から来た人 「天気よければ、もう少し回ろうかと思った」

■台風10号 離れていても被害なぜ

 なぜ遠く離れた地域で被害が出たのでしょうか。

 北日本は秋雨前線が台風10号に刺激され、東海地方では温かく湿った空気の影響で台風接近前から広い範囲で大雨となりました。

 九州・四国はすでに荒れ始めてきました。

アナウンス 「本日は波が高く非常に危険ですので、波打ち際には絶対に近寄らないようお願いします」 

 高知県桂浜。水族館では看板を外すなど、急ピッチで対策を立てています。

桂浜水族館 広報 森香央理さん 「雨に弱いカピバラ、陸ガメは小屋へ。カワウソは寝室へ移動させた」

■“ノロノロ台風”上陸前から猛威

 台風に近い九州。上陸を前に影響が大きくなっています。

 正午すぎ、鹿児島県指宿市で発生したゲリラ雷雨。台風周辺の湿った空気が流れ込み、大気が不安定になりました。

 排水溝からは滝のように雨水が流れ出します。突然の出来事に観光客は戸惑いを隠せません。

鹿児島市から来た人 「傘を持ってこなかった、晴れていたから。そこまで来るのにびしょ濡れ」

 夏休み終盤の列島に近付いている台風10号。自転車並みのスピードで進み、29日には強い勢力で九州に上陸する見込みです。

■“住宅倒壊レベル”70m暴風恐れ

 鹿児島県の奄美大島は午前10時すぎ、「暴風域」に入りました。

 強まる雨、風も吹き荒れます。情報カメラは小刻みに揺れ、横殴りの雨を捉えます。

 自転車の運転もままならず、押して歩く人も。

 怖いのは風による被害です。

撮影者 「昼に近付くに連れてどんどん風が強くなっている感じ。突風が怖いので、そこだけは気を付けたい」

 奄美地方には今後、瞬間的に70メートルの風が吹くことが予想されています。これは建物が倒壊するほどの強さです。     奄美市全域に避難指示が出され、72人が避難所に身を寄せています。

 奄美大島から北におよそ250キロ離れた屋久島。朝のうちから空には怪しい雲がかかり始めていました。

 緑豊かな自然と野生動物が共存する世界遺産「屋久島」。観光に大きな影響が出ています。

 島への移動に欠かせない2台の高速船「トッピー」と「ロケット」。台風の影響で27日、28日の全便が欠航となりました。

 屋久島の東に位置する種子島では、視界がかすむほどの雨が降りました。