今年は大雨による道路の冠水や浸水の被害が相次いでいます。ハザードマップを活用して実際の避難につなげる取り組みを取材しました。

■「防災の日」災害時の備えを

 各地に冠水や浸水をもたらした大雨。その発生回数は年々増加していて、1時間100ミリ以上の猛烈な雨は1980年ごろと比べておよそ2倍になっています。

 大雨の被害は都市部でも…。多くの飲食店が軒を連ねる東京・港区の麻布十番が、1時間の雨で道路が冠水してしまいました。

 先月21日夕方、東京都内の広い範囲をゲリラ雷雨が襲いました。

 港区付近では1時間におよそ100ミリの雨が降ったとみられ、記録的短時間大雨情報が出されました。港区付近に記録的短時間大雨情報が出されたのは、ここ10年で初めてのことでした。

 まさか、と思えるような被害でしたが、実はこの場所、東京・港区の「浸水ハザードマップ」で見てみると、最大2メートルの浸水リスクがある場所として注意喚起されていたのです。

 川のようになった商店街。車が波のような水しぶきをあげて進む、この場所もハザードマップで注意喚起されていました。

■ハザードマップを避難につなげる

 さらに、このハザードマップを用いた防災ツールがあるといいます。全国683の自治体でハザードマップを作成している地図会社の「ゼンリン」に聞きました。

ゼンリン 公共ソリューション営業部 宗方かすみ課長 「マイ・タイムラインシートというシートを作成して、これを作る支援を行っています」

 「マイ・タイムライン」は、ハザードマップを確認しながら自分自身のリスクや家族構成、生活環境に合った防災行動を時系列に整理するものだといいます。

宗方かすみ課長 「まずは、このなかで自分の家がどんな危険があるのかを知ることが大切になります。ここの場合だと0.5から3メートル未満、浸水するという想定になっています。大体、大人の腰くらいから1階くらいまでが浸水してしまう」

 ハザードマップは各自治体によって浸水や土砂、津波など、災害ごとに分かれているものもあるので注意が必要です。

宗方かすみ課長 「これ(避難所)がそれぞれの災害の時に使えるか〇、使えないか×を示しています。例えば、ここにお住まいの方だと、一番近い避難所はこの江差北小中学校という場所になるが、よく見ていただくと洪水の時には×が付いているので、洪水の時にはこの避難所には避難することはできないです」

 「マイタイムライン」で、1、住んでいる場所の災害リスクを確認。2、高齢者や妊婦など、避難に手助けが必要かを考えておく。3、避難場所の確認などを行います。

 また、避難ルートを考えておくことも重要だといいます。

宗方かすみ課長 「災害が起きてからでは、人というのは行動がなかなかできない状況になってしまう。その前に平時の段階から備えておくことで、もし何か起きた時にすぐに自分の安全を守る行動が取れるというのが最大のメリットだと思います」

 「備えあれば憂いなし」。防災の日の1日、災害時の備えについて、考えてみてはいかがでしょうか。