熊本県天草市の『轟の滝』で水遊びをした人が、相次いで体調不良を訴えた問題で、県は27日、「水質検査の結果、ノロウイルスが検出された」と発表しました。

熊本県健康危機管理課・弓掛邦彦課長 「滝つぼと滝のすぐ上の2カ所からノロウイルスG2が検出される」

牡蠣などの二枚貝にひそみ、特に冬に食中毒の要因として猛威を振るうノロウイルス。

検査を行った患者16人のうち、6人からもノロウイルスが検出されたことを明らかにしました。

しかし…

熊本県健康危機管理課・弓掛邦彦課長 「行政検査、便で検出したノロウイルスG2は、遺伝子型まですべて一致。しかし、河川水から検出したノロウイルスG2と行政検査、便は遺伝子型が異なる」

県は、これまでに人から検出された4人分のノロウイルスについて、遺伝子型を検査しています。 4人の中には、別々のグループで、違う日に川に行っている人もいます。しかし、その感染源が“川”かというと、川で検出されたノロウイルスとは遺伝子型が違うため、そうとは言いきれないそうです。

熊本県健康危機管理課・弓掛邦彦課長 「河川水と便からノロウイルスが検出されているため、今回の事案との関連性が疑われるが、断定には至っていない」

さらに、川でノロウイルスによる集団感染が起こるのかという疑問も浮かび上がります。

県は、ノロウイルスは自然界に存在するため、水が滞留するような場所ではありえるのではとの見解を明らかにしています。

しかし、感染症の専門家は、こう話します。

国際医療福祉大学・松本哲哉教授 「まったく想定外。通常、自然の中で、ノロウイルスに感染する。こんなにたくさん(患者が)出るというのは事例がない」

松本教授が指摘するのは、“人”が感染源になった可能性です。

国際医療福祉大学・松本哲哉教授 「たまたまノロウイルスに感染し、出てくるものは、相当なウイルス量。おう吐物にしろ、便にしろ、相当なウイルス量が体外に出てくる。いったん汚染させてしまうと、周囲に感染させる可能性はある」

熊本県は、引き続き、水質調査を進めるとともに、近くのトイレを検査するなど、あらゆる可能性を視野に体調不良の原因を調べるとしています。