外務省は1993年の外交文書を公開し、当時の宮沢総理大臣がアメリカのクリントン大統領との初めての首脳会談について、「乗り気ではない」と話し、消極的だったことが明らかになりました。

 外務省は作成から30年が経過した外交文書、11冊4421ページを公開しました。

 それによりますと1993年、日米首脳会談を前に宮沢総理が外務省幹部に対し、「皆がワシントンに行けと言うので、もともと乗り気ではないが行くことにした。アメリカに文句を言われに行くのだろう」と漏らしていました。

 当時、アメリカは大幅な対日貿易赤字を問題視していました。

 実際、会談の内容を記した「極秘」扱いの記録によりますと、アメリカ側からは「現在の貿易不均衡を続けることはできない」と迫られていました。

 宮沢総理は、「巨大な不均衡は恥ずかしいものだ」と応じながらも、是正のための具体的な目標設定などは行わない考えを示していました。

 そのほか、宮沢総理が外務省幹部との会話の中で、戦後生まれ初のアメリカ大統領となったクリントン氏について、「ブッシュ(元大統領)などと話をしていた時代と違って、新人類と付き合うことになる」「戦後の人であるから頭が違っていると思わなくては仕方ない」と語っていたことも明らかになりました。