韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾(だんがい)訴追案が2度目の採決で可決となったわけですが、この背景には一体、何があったのでしょうか。

 (山本志門記者報告)  まずは世論の怒り、これが一向に収まらず、むしろ火がついている。この危機感が大きかったと思います。

 国会周辺では若い人から年配の人、まさに色々な世代20万人ほどが集まってマイナスの温度下で抗議の声を上げていました。こういったことが一部の与党議員、少なくとも12人の「賛成票」を突き動かすことにつながったんだと思います。

 一方で、思ったほど与党からの造反が少なかったとの見方もあります。このあたりは与党内の権力闘争の側面もあって抑え込んだ形なのですが、いずれにしろ「弾劾反対」で臨んだ与党はこれから厳しい立場に置かれることになります。

 (Q.混乱の中にある韓国ですが、これからどうなっていくのでしょうか?)  弾劾可決後、尹大統領は職務停止となりましたから、一切、何の権限もない肩書だけの“大統領”となりました。

 弾劾の動きと並行して、“戒厳令”に関わった幹部らが軒並み逮捕や取り調べを受けています。「内乱罪」の容疑で今後、捜査の手が尹大統領自身に及ぶかどうかも大きな焦点です。

 政府が混乱に陥るなか、北朝鮮の挑発時はきちんと対応できるのか、韓国経済は悪化していくのではないか。こういった懸念の声も多いのが現状です。

 政府の立て直しには、まだまだ相当な時間がかかると思われます。