金融庁に出向中にインサイダー取引を行った疑いで、証券取引等監視委員会が裁判官出身の30代の職員を金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発しました。

 金融商品取引法違反の疑いで刑事告発されたのは、裁判官出身で金融庁に出向していた佐藤壮一郎職員(32)です。

 監視委員会によりますと、佐藤職員は4月から9月にかけて金融庁の課長補佐の立場を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)に関する未公開の情報などを基に、自分名義で10の銘柄を合わせて約951万円分買い付けた疑いが持たれています。

 関係者によりますと、佐藤職員は監視委員会に対して不正な取引を認める説明をしていて、取引で得た利益は数百万円に上る疑いがあるということです。

 告発を受け、金融庁は佐藤職員を懲戒免職にしました。

 また、最高裁は「裁判官であった者が金融庁への出向中にインサイダー取引の疑いで証券取引等監視委員会により告発をされ、懲戒免職処分を受けるに至ったことは誠に遺憾である。このようなことは決してあってはならず、一層の綱紀の保持を図って参りたい」とコメントしています。

 また、監視委員会は未公開情報を父親に伝え、インサイダー取引に関与した疑いで東京証券取引所の細道慶斗元職員(26)を父親とともに刑事告発しました。