シリアの暫定政権が、ウクライナと戦略的パートナーシップを結ぶ構想を明らかにしました。シリアでロシアの影響力が低下するなか、周辺地域の勢力図が変わる可能性があります。

 シリア暫定政権のシェイバニ外相は30日、首都ダマスカスでウクライナのシビハ外相と会談しました。

 このなかで、シェイバニ外相は「シリアの人々とウクライナの人々は同じ経験、同じ苦しみを味わってきた」とロシアを念頭に置いた発言をし、将来、両国で戦略的パートナーシップを結ぶことを希望していると明らかにしました。

 一方、ウクライナ側は、シリアに対して行う小麦500トンの食料援助の第一陣が31日にも到着すると発表しています。

 ゼレンスキー大統領は「この援助が、長年にわたるロシアの干渉を終わらせ、シリアの安定に貢献できる」と述べていて、暫定政権との関係構築を進めています。

 アサド政権が崩壊するまで、ロシアはシリア国内に軍事基地を設置するなど政権維持の強力な後ろ盾となってきました。

 そのアサド政権を倒した「シャーム解放機構」の指導者ジャウラニ氏はロシアについて、融和的な発言をしているものの、今後の関係について詳細は明らかにしていません。

 シリア暫定政権がロシアと交戦状態にあるウクライナとの関係を深めた場合、ロシアのさらなる影響力低下は避けられず、周辺地域の勢力図に大きな変化をもたらす可能性があります。