台風本体から離れた首都圏でも大雨に。帰宅ラッシュにも影響が出ています。

■住宅街が“冠水”

撮影者 「神奈川県平塚市河内、道路の前ですが道路が水没して冠水してしまっています」

 神奈川県平塚市、住宅街の道路が濁った雨水で覆われています。車のタイヤが半分埋まるほどの高さまで冠水しています。

 平塚市では24時間雨量が250ミリで、8月の観測史上最大を記録しています。

 冠水したのは、ごみの集積所もある生活道路です。29日から30日朝にかけて、台風の影響で雨が降り続いたことで排水が追い付かず、一夜にして様変わりしています。

 町の至る所で冠水の被害が出ています。

 通勤中の男性は水没した歩道を進んでいきますが、途中で諦めて引き返します。

 団地が立ち並ぶエリアもまるで池のように。傘を差して歩いている人はひざの上まで水につかっています。

 普段の様子を確認すると、団地沿いに川が流れています。川から水があふれ、道路まで冠水したことが分かります。

 1時間雨量は57ミリと今年一番の非常に激しい雨を記録。平塚市は市内の河川が氾濫する恐れが高まっているとして、警戒レベル4の「避難指示」を出しました。

 ただ、場所によっては車が半分埋まるほどで、避難するのが困難な場合も。市は自宅にいる人に2階以上へ避難するよう呼び掛けています。

■車の半分“浸水”

 水につかった郵便ポスト。下の柱が見えなくなるほどです。これは、通勤時間の路線バスからの映像。まるで川を渡る船からの光景のようです。

乗客 「どこかにバスの運転手が連絡していて、『水がすごいからこれ以上進めない』と。しばらく停車していたが、そのまま強行突破した」

 前方から大きなトラックが。慎重に進んですれ違います。バス停に止まると乗り口に迫る勢いで道路が冠水しているのが分かります。

 同じ湘南地域の二宮町でも主要道路で冠水被害が出ています。地元で40年暮らす人は驚きを隠せません。

撮影者 「ここまで水位が上がって周りの広い範囲が水浸しになっているのは、初めて見たのでびっくりした。4つの方向から道が完全にふさがれて通れない状態だったので。知らずに入ってきた人は皆、Uターンしていた」

 周辺では24時間雨量が332.5ミリと観測史上最大の雨が降りました。町内を流れる葛川で氾濫が起きたとして、二宮町は一時、町内全域に警戒レベル5の「緊急安全確保」を出しました。

■世田谷で冠水相次ぐ

 東京も幹線道路の国道が冠水しています。

 世田谷区などを走る国道246号です。大雨による冠水で、用賀1丁目の交差点から瀬田交差点の間が通行止めになりました。

 東京都心の24時間雨量は平年、8月の1カ月に降る雨量のおよそ7割に及んでいます。水かさが増した目黒川では、氾濫危険情報が出されました。

■“遠隔豪雨”いつ?どこで

 台風10号から遠く離れた首都圏でなぜ大雨が降っているのでしょうか。

名古屋大学 坪木和久教授 「このような大雨のことを遠隔豪雨と言う。台風が遠いからといって大丈夫ということではなく、遠くにあっても水蒸気の流れ込みが起こる限り豪雨が発生する」

 「水蒸気の流れ込み」が関係しているといいます。

 これは、上空の暖かく湿った空気の流れ「暖湿流」を表しています。赤色が濃いほど発達した雨雲が湧きやすく、局地的に大雨になる恐れがあるといいます。

坪木和久教授 「この水蒸気の流れ込みが台風に伴う大気の川のような形になりつつある。最近の水蒸気の状況を見ると、東海地方の東側から関東地方にかけて、特に集中して流れ込んでいる状況。そういうところでは強い雨が降る。その流れ込みが続く限り、長期間にわたって雨が持続する」    長引く雨の影響で、交通網にも甚大な被害が。

 小田急線の東海大学前駅と秦野駅間で、線路の盛り土が流出する被害が確認されました。

 復旧までは相当な時間がかかるとして、一部区間で運転を見合わせていて、再開の見込みは未定だといいます。