ニューヨークダウが4日、過去三番目の下げ幅となるなど、トランプ関税による世界同時株安が進むなか、5日、相互関税の第1弾が発動しました。この先、世界経済はどうなるのか、専門家に聞きました。(4月5日OA「サタデーステーション」)
■SAKE輸出にも“トランプ関税”の影響が
サタデーステーションが向ったのは、秋田市にある老舗の造り酒屋。日本酒も今回の関税の対象になることでその影響を危惧していました。
秋田酒造 野本翔社長 「こちらにあるお酒は全部ニューヨークに行きます。120箱くらい。週明けの7日月曜日に出荷する予定です」
現在出荷している日本酒のおよそ3分の1をアメリカへ輸出しています。
秋田酒造・野本翔社長 「降って湧いたような話で、全くもって予測していなかった。やっぱり現地での販売価格の高騰につながりますので、非常に懸念を抱いてますね」
主力商品は、大吟醸の『酔楽天』。伝統的酒造りの『無形文化遺産』登録を追い風に、輸出を増やしていこうという矢先でした。
秋田酒造・野本翔社長 「当社はアメリカにすごく注力していたんですけれども、経営的にも非常に苦しい状況が続くのではないかという風に思っています」
日本酒の原料となる米も高騰し、“トランプ関税”が追い打ちをかける形でダブルパンチとなっています。
■ニューヨークの寿司店「24%あげるわけには…」
2段階の『相互関税』のうち、5日から始まったのは『すべての国や地域を対象とする一律10%の関税』です。9日には、アメリカにとって貿易赤字となっている『およそ60の国と地域に個別の関税』が上乗せされる予定です。その対象国である日本には24%が課されます。
去年のアメリカへの日本酒輸出額は、114億円と中国に次いで第2位。(日本酒造組合中央会調べ)
ニューヨークで秋田酒造の『酔楽天』を提供する高級寿司店も困惑しています。
寿司レストランTAKEDA オーナー兼社長田中里美さん(米・ニューヨーク) 「昨日(現地2日)その発表を聞いて、一撃を受けました」
現在『酔楽天』1瓶(720ミリリットル)の日本での小売価格は4400円ですが、こちらの寿司店では、グラス1杯が68ドル。今のレートでおよそ1万円です。
寿司レストランTAKEDA オーナー兼社長田中里美さん(米・ニューヨーク) 「68ドルのものをどこまで上げるか。一杯100ドルはいけないですよね。24%アップするわけにはいかないので。いっても10%アップかなというふうにギリギリ考えてます今は」
■米中貿易戦争への懸念 世界は同時株安に
世界各国は、報復措置をとるのか、交渉で適用除外を狙うのか、難しい選択を迫られています。
34%の『相互関税』を課された中国は4日、アメリカ製品に34%の“報復関税”を課すと明らかにしました。これに対し、トランプ大統領はSNSでこう批判。
トランプ大統領(SNSへの投稿) 「中国は間違っている。彼らはパニックに陥った」
貿易戦争への懸念から、ニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が4日、前日比2231ドル安の3万8314ドルとなり、1日としては過去3番目の下落幅になりました。日経平均株価も5日、一時1500円近く下げたほか、アジアやヨーロッパで下落が相次ぎ、世界同時株安が進んでいます。
■日本で何が起きる?専門家解説
“トランプ関税”の発動で、今後何が起きるのでしょうか。経済の専門家2人に話を聞きました。まずは、日本国内への影響について。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏 「一番先に感じられるのは金融市場の動きだと思う。円高・株安。マイナス面が大きいと思いますが、一部は円高による輸入物価の低下によって例えば今価格がすごくあがっているエネルギー関連だったり、食料品だったり、そういったものも値段が落ちついてくるきっかけにはなると思います。ただそれ以上に景気が悪化してしまう可能性がある」 「我々の生活に影響が比較的短期間で見られるとすると、輸出関連の企業の下にある中小零細企業で働く人は雇用の不安とか賃金があがらなくなるとか、そういうことが起こって来る可能性がある」
■アメリカで何が起きる?専門家解説
一方、世界金融の中心地・アメリカのウォール街で長年活躍してきた豊島さんは、今後も株式市場の混乱は続くと予想します。
アメリカ経済に詳しいアナリスト 豊島逸夫氏 「不透明感、不確実性、これがいまピークに達している。こういう先が読めないとき(起こるのが)、株式市場暴落です」
輸入品が上がり個人消費が落ち込むことで、景気は悪化するといいます。
アメリカ経済に詳しいアナリスト 豊島逸夫氏 「2~3カ月もすれば『私たちの生活がよくなるはずが悪くなってるじゃないか』『私が勤めている製造業、リストラが始まったよ』と。実は守るはずであった労働者階級、アメリカのいわゆる製造業が真っ先にいたむ、そういう結果になりかねないということが、日々発表される経済データで明らかになってきている」
この先、どのような状況が待っているのでしょうか。
アメリカ経済に詳しいアナリスト 豊島逸夫氏 「リーマンショック並みの可能性があるかと言われればある。でもその可能性は少ないと。この影響は年内、少なくとも続くということで、(日本では)まず自動車産業等のアメリカとの接点が非常に強いそういう部門から悪影響が始まる」
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