政府が新型コロナ感染者の全数把握を見直す方針を示したことについて、医療機関からは負担軽減が期待される一方、患者が急変した時への備えが必要との指摘が聞かれました。

 仙台市青葉区のかわむらこどもクリニックでは、感染が疑われる患者は原則、車の中で診察を行っています。

 多い日には1日の検査数が50件ほどに上り、通常の診療と並行して行っています。

 新型コロナは、診断した医師が全ての新規感染者の氏名や連絡先、基礎疾患の有無などを直ちに保健所に届け出る義務があり、数十項目をカルテと照らしながら手作業で入力します。

 かわむらこどもクリニック川村和久院長「50人くらい患者が来たが、すべて終わるのに3時間くらい掛かって、その日はスタッフが帰ったのが夜の9時ごろで僕が入力が終わったのは午前0時」

 感染拡大の第7波により届け出業務を担う医療機関や保健所の負担が増大したため、岸田総理は24日に全数把握を見直す方針を示しました。

 かわむらこどもクリニック川村和久院長「診療以外の時間をそういう事務作業にとられることがなくなることは、これから医療を継続していく上での条件としてすごく大きい」

 見直しによって、報告の対象は都道府県の判断で高齢者や重症化リスクの高い人などに限定できるようになります。

 しかし、重症化リスクの低い人は保健所による健康観察の対象外となるため、もし体調が悪化した場合、急変に気付きにくくなる恐れもあると指摘します。

 かわむらこどもクリニック川村和久院長「重症化する、場合によっては症状が気になる方々の負担を減らすと。病院へのアクセスを良くすることがすごく重要で、ハーシスだけが悪いのかというところも、もう1回全体的に考えてもらうといいと思いますね」