能登半島地震では避難所などの環境が悪く、災害関連死で亡くなった人が既に10人を超えています。災害関連死を防ぐには事前の備えが必要ですが、宮城県の自治体でもベッドなどの備蓄が進んでいないことが分かりました。

 能登半島地震のの避難所では、多くの人が床に直接マットなどを敷いて寝る雑魚寝を強いられています。

 専門家は、雑魚寝は睡眠を妨げるだけではなく様々な病気を誘発すると警告します。

 避難所・避難生活学会代表理事石巻赤十字病院植田信策副院長「床に雑魚寝にすることによって、人が歩いた時に巻き上げる粉じんを吸うことになります。粉塵を吸いますとそのために咳をしたり、場合によっては粉じんに含まれる雑菌であったりとか、もしかしたらウイルスもあるかもしれません。それによって肺炎を起こすという危険性があります。床に寝ている状態が長く続と、精神的にもすごくストレスになります。ストレスが体を健康な状態から不健康な状態へと導いてしまうということです」

 雑魚寝を防ぐ有力な手段が、段ボールなどでつくられたベッドです。能登半島地震の避難所では、発生から2週間後にようやくベッドが届きました。

 避難所・避難生活学会代表理事石巻赤十字病院植田信策副院長「ダンボールベッドを置くことによって、床から離すだけではなくて空気層ができますので、体温を保持することができる。段ボールそのものが熱をあまり吸収しないので、体の熱を奪わない」

 ダンボールベッドを宮城県の自治体がいくつ備蓄しているのか県と調べた結果、登米市や名取市のように、まとまった数を備蓄している自治体がある一方で、100に満たない自治体が18あり、1つも備蓄がない自治体もありました。

 自治体側にも事情があり、気仙沼市では災害時避難所に来る人の数を最大で約5000人と想定していますが、備蓄しているベッド数は50にとどまっています。市の担当者は「保管しておくスペースが無いことや、ベッドを入れることで避難所の収容可能人数が減ってしまう」と話します。

 石巻赤十字病院の植田信策副院長は、運用を工夫することが大切だと指摘します。

 石巻赤十字病院植田信策副院長「自治体で住民分を全て備蓄できなくても、いくつかの自治体が自分たちで可能な範囲で備蓄しておけば災害時に持ち寄って供給することも可能かもしれません。宮城県内外に限らずこうした運用の仕方もあると思います」