旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたとして宮城県の原告らが国に賠償を求めた裁判は、最高裁での審理が始まりました。仙台市の原告女性は「優生手術は私から幸せな結婚や子どもというささやかな夢をすべて奪いました。最高裁は早く全ての被害者が救われるような判決を出してください」と訴えました。

 仙台市の原告、飯塚淳子さん(仮名・70代)は意見陳述を行うために29日朝、最高裁へ向かいました。被害を訴えて27年です。

 飯塚淳子(仮名)「(泣きながら)長かったです。その間、何度か死のうと思った時もあったし、苦しいから、でも頑張ってきました。とにかく良い判決であってほしい」

 旧優生保護法をめぐっては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に損害賠償を求める裁判を全国で起こしています。 最高裁大法廷は、仙台や東京などの高裁で判決が出され上告された5件について審理を始め、29日に原告や国から意見を聞く弁論が開かれました。

 飯塚淳子さん(仮名)は意見陳述で「優生手術は私から幸せな結婚や子どもというささやかな夢を全て奪いました。この被害を闇に葬られてはならないと思い、長い間たった1人で歯を食いしばって訴え続けました。最高裁は、早く全ての被害者が救われるような判決を出してください」と訴えました。

 裁判では、旧優生保護法の違憲性や損害賠償請求権が消滅する除斥期間の適用が争点となっていて、5件のうち仙台高裁だけが不妊手術から20年が過ぎ「賠償請求できる権利は消滅している」として訴えを退けています。

 最高裁は、夏ごろにも統一判断を示すとみられています。