22日、公式訪問先のイギリスへと出発された天皇皇后両陛下。現地では、お二人がともに留学した“思い出の地”、オックスフォードも訪問されます。私たちは、留学当時の様子を知る人たちを取材。今につながるお二人の原点が見えてきました。(6月22日OA「サタデーステーション」より)

■両陛下“共通の原点”オックスフォード

陛下が国際親善を目的にイギリスを訪問されるのは、2001年以来23年ぶり。公式訪問は8日間の日程で、歓迎式典やバッキンガム宮殿での晩餐会など、国賓として様々なおもてなしを受けられる予定です。

サタデーステーションが注目したのは、「両陛下共通の“原点”」です。向かったのは両陛下が最終日に訪問される街「オックスフォード」。

留学当時の映像で、自転車で颯爽と駆け抜けるのは、当時25歳の陛下。オックスフォード大学に留学されていた時の様子です。一方、雅子さまも外務省時代にオックスフォードへ留学。それぞれ時期は違いますが、お二人の“共通体験”があるのが、この場所なのです。

■学友明かす雅子さま留学秘話

今回私たちは、貴重な留学中の雅子さまを知る女性に話を聞くことができました。ご学友の土地陽子さんです。

雅子さまのご学友 土地陽子さん 「1990年の5月のゴールデンウィークのときになります。いろいろな形でオックスフォードの生活の様子を見せていただきました。お会いした雅子さまは、とてもよく日に焼けていらっしゃって、お元気そうでとても楽しそうだったんです」

自身がオックスフォード留学を考えていたとき、先に留学していた雅子さまに現地を案内してもらったといいます。お妃候補の報道が過熱していた当時、こんな気遣いも。

雅子さまのご学友 土地陽子さん 「雅子さまに出て来ていただくタイミングをちょっと注意して選んだということがあります。目立たないルートを使って出てきていただいた」

雅子さまのお人柄が表れているエピソードがあります。

雅子さまのご学友 土地陽子さん 「『中華料理はどう?』ということになって、楽しく一緒に食事をした後、二次会に行きましょうかという感じではあったんですけれども、雅子さまは『私は勉強があるのでごめんなさいね』と言って一足先に寮に引き上げられた。雅子さまは本当に試験勉強の真っ最中であったので、わざわざ出てきてくださって、いろいろと案内してくださって本当にありがたかったと思います。私自身は5月のあの日がなかったら自分自身がオックスフォードを選択しなかったと思います」

そして、オックスフォード留学という“共通点”が、お二人に大きな影響を与えたのではないかと話します。

雅子さまのご学友 土地陽子さん 「日本のいろいろな制約から離れて、自分自身のアイデンティティにつながるような原体験をもたれたのではないか。それを共通にお持ちになった2年間があるということが、お二人にとっては結びつける絆になっておられたのではないかと思います」

雅子さまが連れて行ってくれたという中華料理店の店主も取材することができました。

中華料理店店主 シューマン・チェさん 「雅子さまには何度かお目にかかりました。友達と北京ダックなどを食べられていました」

実は、この店に通われたのは雅子さまだけではありません。

中華料理店店主 シューマン・チェさん 「ああ、天皇陛下だよ。何度か来店してくださったのを覚えています。麻婆豆腐とライスがお好みでした」

■「プリンス・ヒロ」学友が見た陛下の素顔

食事の場は「貴重な交流の機会だった」と陛下は会見でも触れられています。

天皇陛下(19日の会見) 「当時私が弦楽四重奏のグループをつくることができたのも、朝の食堂での一学生との出会いがきっかけでした」

その「学生」というのが、ご学友のウィットモアさん。陛下と大学構内で談笑する貴重な映像も残っています。陛下とはその後も手紙でやりとりした仲です。

フィリップ・ウィットモアさん 「私たちは食事を共にして、仲を深めました。彼を『プリンス・ヒロ』と呼ぶように勧められたので、私たちはそう呼びましたよ。彼が室内楽を演奏したいと熱望し、すぐにそれが実現したのです」

ビオラ演奏が趣味の陛下。学業だけでなく、こうしたご学友との交流で、多くのものを得たといいます。

■英王室との深い絆 日英関係に“深み”

長年に渡って、深いつながりをもってきた皇室とイギリス王室。2001年に陛下が訪英されたときには、チャールズ国王と阿波踊りで交流。逆に、チャールズ国王がダイアナ元妃と来日した際には、陛下が伊丹空港で2人を出迎え、京都を案内されていました。当時の日本では、“ダイアナフィーバー”が起こるほどの歓迎ぶりでした。

「日英のつながり」そして「皇室外交」の意義について専門家は…

関東学院大学 君塚直隆教授 「やはり君主制の場合、親から子、さらには孫あるいはひ孫といったように代々紡いでいく。いってみれば家族同士のお付き合いになっていく。これはなかなか大統領だとか、共和制の国の人たちにはできないような“深み”というものを与えてくれると思います。(国同士の関係の)継続性と安定性というものを両国の関係にもたらすことができる」 「今回もお泊りの天皇皇后両陛下を(宿泊先のホテルから)バッキンガム宮殿まで、お迎えに上がってお連れするというのはウィリアム皇太子の役割ですよね。今度ウィリアム皇太子が来日されるってことになったら、今度は愛子さまだとか日本の次の世代にも紡いでいけるというように、今回のご訪問が契機になって、今後もさらに日英の皇室王室関係がどんどん進展していくと思います」