8月6日に突然始まったウクライナによるロシアへの越境攻撃。その狙いは何なのでしょうか?今後の行方は?ジャーナリスト柳澤秀夫氏が解説します。(8月17日OA「サタデーステーション」)

■来月の国連総会を意識?

高島彩キャスター 「柳澤さん、なぜ今というタイミングだったのか。そしてウクライナの狙いはどういったところにあるんでしょうか」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「3つほど考えられると思うのですが、第一は、首都キーウに対する、クルスク州からの攻撃、脅威を少しでも軽減したいと。もう一つは、ロシア軍の兵力を分散すること。東側にずっとロシア軍が張り付いていますけど、これを分散させる。3つ目が一番大きい狙いだと思うが、今後ロシアとの交渉になった場合に切り札、カードとして使いたい。来月は国連で、11月には改めてウクライナの和平を話し合う大きい会議が予定されている、そういう場で交渉のカードに使いたいという思惑があると思います」

高島彩キャスター 「だからこそ、今だということですね。これまでウクライナは欧米諸国から武器の提供を受けてきましたけど、今回の越境攻撃に、アメリカやNATOは関係しているんでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー 「イギリスメディアによると、イギリスが提供した戦車『チャレンジャー2』が使われたと報じられています。イギリスの国防省は、どの兵器が使われたかは明らかにしていないのですが、ロシアの違法な攻撃に対して、自衛するためにイギリスが提供した武器を使う権利があるとしています。さらには、アメリカが提供した武器も使用されていると言います。アメリカの国防総省などは、これを公式に認めていないのですが、ウクライナが自国を防衛するためという当初からの政策と一致していると報道官が述べています。一方、ロシア側は、欧米が越境攻撃を支援しているとして非難しています」

■“核の威嚇”強める恐れも

高島彩キャスター 「防衛のためと主張しているようですが、越境したのは事実です。国際社会からはどのように見られているのでしょうか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏 「ウクライナのゼレンスキー大統領は、『長期間クルスク州を占領するつもりはない。あくまでも自衛権行使の範囲内だ』と言っている。ただ、ロシアの領土が他国の軍隊に侵略された、越境攻撃されたというのは、第二次世界大戦以降初めてだという事で、ロシアにとってみると、屈辱的な事なんです。ですから、今後核の脅威をチラつかせて攻勢を強めてくる事が考えられますので、その辺が1つの大きいカギになると思います」 「もう1つは、NATOはこれまでウクライナに対して兵器を供給してきましたけど、ロシアとの直接対決は避けたいというのが本音だった。現在、ウクライナ軍はクルスクの35km地点ぐらいまで侵攻しているといわれている。これをNATO側がどこまで侵攻・越境攻撃を許容するのか、NATOの国がウクライナに対してどういう動きに出てくるか、これが1つの大きいポイントになってくる」

高島彩キャスター 「今後のNATOの動きに注目、そして、忘れてはいけないのが、この間にも民間の方が犠牲になっているという事です。心に留めておかないといけないと思います」