派閥解消の影響か、同じ派閥から複数人が出馬に意欲を示すなど異例の乱戦模様の総裁選。各候補、この週末は活発に活動しています。

■同派閥から複数候補…乱立の総裁選

自由民主党総裁。その椅子をめぐり… (岸田文雄総理大臣)「我こそはと思う方は積極的に手をあげて、真剣勝負の議論を戦わせてほしいと」 名前があがる面々―。次の総理大臣は誰に? 「おはようございます」 地元・千葉県にランニング姿で現れたのは… Q.いつも走っている? (前経済安保担当大臣 小林鷹之氏(49))「結構走ります」 Q.明日に向けた準備というか? 「いや、そういう訳じゃなくて、体調管理」 Q.もう決意はした? 「それはしかるべき時に決めるんで。自分の判断で」 明日19日、記者会見を開き立候補を表明する方針を固めた小林鷹之・前経済安保担当大臣。 Q.どういうことを考えながら走っている? 「基本無心ですね」 Q.日本の行く末は考えない? 「そういう難しいことは考えないです。走っているときは空っぽに」 17日、小林氏が訪れたのは新潟県。横田めぐみさんの拉致現場を視察しました。 (前経済安保担当大臣 小林鷹之氏)「私自身、いま中学校2年生の1人娘の父親ですから、胸が張り裂けそうになる、胸が詰まる思いです。どんな手段を使ってでも、ありとあらゆる手段を使ってでも、政治家として全力を尽くすということだと思います」 実は、前回の総裁選で高市早苗氏の推薦人だった小林氏。 (前経済安保担当大臣 小林鷹之氏)「国難に立ち向かい日本を守るために高市早苗候補とがんばろう」 高市氏も出馬に意欲を示しているため保守票が割れる可能性もあります。 Q.(出馬するなら)高市さんには仁義をきる? 「仮定の話ですから。ただ、高市大臣とは、日頃から結構密にコミュニケーション取らせていただいて、この経済安全保障の話も含めてですね、色んな意見交換をさせていただいています。」 Q.小林さんはタカ派?ハト派? 「タカもハトも、名前は“鷹”なんですけど。私が一番重要にしているのがバランスです。ただいわゆる外交安全保障政策について、どう見られているかという意味で言うと、いわゆるタカ派。タカ派というか保守派。」

■高市氏の本音?「1人2人と消えてった」

その高市氏、きのう17日、地元奈良で集会に参加しました。 (参加者)「この方はバーっといくじゃないですか。だから好き。」 「奈良県民としても、初の女性総理大臣なってほしいですね」 「彼女がなってほしいと思う。バーンいきはるもん自分捨てて。そういうのってあんまりないでしょ?」 会場はこの人だかり…主催者発表で1700人。 「高市早苗大臣が本音で語る講演会」と銘打ってメディアをシャットアウト。そこで語った“本音”とは… 【高市早苗大臣の発言(参加者によると)】「岡山(加藤氏)、栃木(茂木氏)、千葉(小林氏)、静岡(上川氏)の方々が総裁選に前向きになったことで、私の推薦人になると言っていた人が1人、2人と消えていった。ここから先はしっかり体制を作っていく。期待に添えるように頑張りたい」 そして、今日18日。高市氏は都内で行われた講演会に。こちらもメディア非公開。高市陣営の関係者によると「推薦人はほぼ固まりつつある」といい、確定次第、できるだけ早く出馬表明したい考えです。 Q.高市大臣、総裁選の推薦人は集まりそうでしょうか? (経済安保担当大臣 高市早苗氏(63))「ぼちぼち元気にやっています。ありがとうございます。」

■岸田派・茂木派からは2人ずつ名乗り

(幹事長 茂木敏充氏(68))「夏の間、よくいろいろ考えたいと思っています」 「夏の間といいますと、確かに今暑くなっていますけど…」 「この夏によく考えたい」 出馬へ意欲を示しつつも、こう繰り返してきた茂木派の領袖、茂木敏充幹事長。17日、富山市内で記者団に対し… (幹事長 茂木敏充氏)「夏の間考えます」

こうした中、自身が率いる派閥から。 「よろしくお願いします」 「がんばってください」 茂木派の加藤勝信・元官房長官は地元の夏祭りで… (元官房長官 加藤勝信氏(68))「私自身、今回ちょっと一念発起して頑張っていこうということで自民党の総裁選に向けて具体的な動きを進めさせていただいておりますけれども。ありがとうございます」 出馬を前提に、推薦人集めを始めていることを明らかにしました。同じ派閥の茂木派から2人が名乗りをあげたことについては… (元官房長官 加藤勝信氏)「自民党自身が派閥を解消するというところからスタートしているわけですから、誰かれということなくそれぞれの方々がその思い、そしてそれを支援する方という形での総裁選にしていかなきゃいけない」

【上川議員のXより】「議員会館で、静岡のお茶で喉を潤しながら、私の思いを伝える電話かけです!」 岸田総理の出身派閥・宏池会からは上川陽子外務大臣。 さらに、林芳正官房長官も出馬に向けた準備を始めています。

■“小石河連合”総裁選で全員がライバル

前回の総裁選に出馬した河野太郎氏を支えた石破茂氏と小泉進次郎氏。国民人気が高い3人のタッグは通称「小石河連合」と呼ばれましたが、今回はそれぞれが出馬の構えを見せています。石破氏は、推薦人20人の確保について… Q.推薦人20人の確保について (元幹事長 石破茂氏)「ほぼメドはつきつつあるということですが、新しく出馬表明された方もあるので、そこはきちんとした確認作業でやるということが必要なんで」 Q.今回は(小石河連合の)2人も出馬に意欲を示されていますが? 「今回岸田さんが勇退をされるということになって状況は変わったということなんでしょう」 さらに、かつて石破氏の派閥、「水月会」に所属していた斎藤健・経済産業大臣も出馬を検討する考えを示しています。 一方、河野太郎氏は、地元にある旧吉田茂邸に各国の大使を招いて案内しました。しかし質問が総裁選に及ぶと… Q.この週末はいろいろな方が? (デジタル大臣 河野太郎氏)「そういう難しい話はきょうはいいから、みんなでおいしいドリアンを食べよう」 Q.歴代の総理にも所以のある場所ですね? 「……」 Q.総裁選出馬に向けた会見をする? 「いろいろな速報が流れて…あっこっちいこう」 関係者によると河野大臣は立候補に必要な推薦人20人の確保にめどがつき、1週間以内に出馬を表明する見通しです。

■「真剣に考える」進次郎氏 会見

そして、総裁選の行方を左右すると言われるのが小泉進次郎・元環境大臣の動向です。18日、横浜市内で自らの出馬について語りました。 (元環境大臣 小泉進次郎氏(43))「(出馬を求める)そういう声をかけていただくことは、大変ありがたいことだと思っています。今後については、真剣に考えて判断していきたいと思います。これから自民党が本当に変わった姿を見せるうえで、派閥の解消が名ばかりではない形を示していくことが、今後あらためて重要なんじゃないでしょうか」 (草薙和輝アナウンサー)「先ほど小泉進次郎氏が会見を開きました。地元横須賀で開催されているこちらの盆踊り大会に以前は参加していたということですが、今年は小泉氏から欠席の連絡があったということです」 (横須賀民謡普及会 稲垣和生さん)「クリーンな政治、国民の皆さんに『よくやってるな』という印象を与えるような総理になってもらいたい」 (参加者)「早いかもしれないけどやってほしい。」 出馬に向け準備を進めているという小泉氏。 【自民党・中堅議員】「菅さんはもう進次郎さん一本でしょう」 父親の小泉純一郎元総理は50歳まで総裁選には立たないよう助言していたとも伝えられていますが、進次郎氏はラジオNIKKEIの番組でこれを否定しています。 (小泉進次郎氏 音声提供:ラジオNIKKEI 「吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース」)「これは誰もが同じだと思いますけど、私いま43歳ですけど、仕事上の様々な判断決断をいちいち親父に仰ぎますか?もうこれは自分で考えて、自分で歩みを進めるも引くもそれは自分で決めるというのは当たり前のことなんじゃないでしょうか」 総裁選は来月20日や27日投開票という案が浮上していますが、20日に正式に決定します。

■“ポスト岸田”大乱戦「推薦人20人」確保が大変なワケ スタジオ解説

Q.“ポスト岸田”に続々と10人が意欲、どういう状況? (テレビ朝日 藤川みな代 政治部長) 「なんといっても派閥の締め付けがないことが大きい。そして現職が出ない。自民党の勢いを回復させるため、人材豊富と見せた方がいいという党としての狙いも。大変手が挙げやすい状況。とはいえ、全員が立候補できるかというとそう簡単ではない」

Q.“推薦人20人確保”が必要? 「立候補したい人が乱立すればするほど、推薦人を確保するのが難しくなって、“共倒れ”の可能性も」

Q.自民党はかなり人数がいるがそこまで大変? 「人数もさることながら、議員にとっては“応援”と“推薦人”は重さが違う。推薦人になるということは名前がはっきり出る。もし負けたら一緒に干される“運命共同体”になる覚悟が必要。口では“応援する”と言っていても、そこまでの覚悟なく単に勝ち馬に乗りたい人、非主流派になるのは困るというような人たちは、だんだん日付が迫ってくると、推薦人を求める電話に出なくなる傾向も」

Q.最終的に何人くらいが立候補できそう? 「推薦人20人が求められるようになってからの歴史をみると、最多は5人。それは上回る見通し。政策や理念が近い人が一本化していくような動きもあるかもしれない。それ以外でも人間関係、かつて選挙でお世話になった、あるいは刷新感が出て欲しいけどあまりにも世代交代が進んでしまうと困るなど、党内の色々な人の思惑が絡みあうので、どう収斂していくか」

Q.太田さんも推薦人をめぐる声を聞いたそうですね? (共同通信社編集委員 太田昌克氏) 「ある閣僚経験者は『4人から推薦人の依頼が来たが、態度は決めていない』と。別の自民ベテランは『1人から推薦依頼が来たが断った。いろんな方に自分の選挙に応援で来てもらわないといけないからだ』と話していた。一方、ある総理経験者の側近は『自分は総理経験者の様子をうかがっている』と。いくら派閥解消とはいえ、従来の人間関係がある。重鎮たちの真意を忖度する、旧態依然の側面も残っている」

Q.重鎮たちは推薦人集めで影響力を及ぼしたい? (テレビ朝日 藤川みな代 政治部長) 「過去には女性候補も出た方がいい、保守系だけでなく比較的リベラル候補もいた方がいいなどと、いろんな思惑で派閥トップや幹部が“推薦人の貸し借り”をするなど調整に乗り出したことも。今回も影響力を及ぼしたい気持ちはあるところだが、表に見えてしまうと、長老支配だとか派閥の力学で動いているというような旧態依然としたレッテルを、候補者を含めて貼られてしまうリスクが。重鎮たちの間でも、自分は表に出ない方がいいという自覚のある方もいればそうでもない方も。どういう“距離感”で準備を進めるかがポイント」

Q.世論も重要に? 「出馬の会見や討論会、政策面でも刷新感を出せるかどうか、安定感を示せるかどうか。世論調査、情勢調査といったものが、党員票のバロメーターになるのでそれで勢いがつくことになるかどうかというところ」

8月18日『サンデーステーション』より