台風10号の影響で、九州一の繁華街・天神からは人混みが消えました。

福岡県内を走る西鉄電車と西鉄の路線バスは、29日の午後から30日いっぱい、始発から全路線の運転見合わせを発表しました。

交通手段が制限されるなかでも、“届けなければいけない”ものがあります。手術などに使われる血液製剤です。

『日本赤十字社九州ブロック血液センター』。ここは九州・沖縄地域への輸送拠点で、毎日、各県へ3往復、福岡へは6往復して届けています。

日本赤十字社九州ブロック血液センター・高尾征義事業部長 「これは、長崎県の血液センターに送る血小板製剤。献血してから“有効期限が4日間”と非常に短い製剤。短いものについては、その都度、各県に補充が必要」

使用期限があるため、台風であっても輸送を止めるわけにはいきません。

配送業者のトラックに詰め込み、午前の便は無事出発しましたが、外は嵐です。

日本赤十字社九州ブロック血液センター・高尾征義事業部長 「(Q.止まったら厳しい交通機関は)高速道路が一番ですね。通行止めになると影響が大きい」

午後、台風が近づくにつれ、その心配が現実に。台風の影響で、業者から配送を見合わせたいと連絡があり、急きょ、自前の運搬車で大分まで届けることになりました。

一般的な血液を使用できない患者のためのもので、29日中に必要です。

日本赤十字社のスタッフ 「台風であっても必要とする患者はいる。何とかして届ける」

大分の血液センターに向かう道中も打ち付ける雨は強くなるばかりです。

大分までの最短ルートは通行止めです。う回して、途中の豊前で引き渡します。

日本赤十字社九州ブロック血液センター・高尾征義事業部長 「(Q.雨が強まってきたが)頑張らないとですね。必要なものは届けないといけませんから」

なんとしてでも届けるべく走ること2時間半。大雨のなか、無事、受け渡すことができました。

日本赤十字社九州ブロック血液センター・高尾征義事業部長 「無事に届けられてよかったです。これが我々の使命ですので、責務のためにがんばります」