16日の「敬老の日」を前に、総務省は65歳以上の高齢者の人口が過去最多となったと発表しました。高齢化が進む社会の「いま」と「これから」を取材しました。

■高齢化社会“いま”と“これから”

 大阪府堺市にある理容院で働くシニアがいます。

理容師 渡木淳さん(72) 「若い人と仕事できているって活性できますね」

 渡木さんは今年で13年目のシニア社員です。若いスタッフたちからは…。

理容師 渡木淳さん 「敬われています。やっぱり上司の方々もスタッフもちゃんとしてくれますので」

 週5日働いているという渡木さん。

理容師 渡木淳さん 「けさ、新しい刃に変えましたよ」 客 「ああ、いいですね。やっぱり」

 この店では主にシェービングを担当。他にもパウダーを補充をするなど大忙しです。

 実は今、こうした働くシニアが年々、増えています。

 総人口が減少するなか、15日に総務省が発表した65歳以上の人口は3625万人と過去最多。日本の65歳以上の就業率は主要国の中でも高い水準となっていて、2023年は914万人となっています。

 その一人でもある渡木さんは“苦手”なものもあります。今年7月から導入された“タッチパネル型のレジ”です。

理容師 渡木淳さん 「最初、QRコードなんかできなかったです。皆さん、若い人に教えてもらって慣れてきました。たまに間違う時ありますけど、その時はレシートに間違えましたと書いて、皆さんに修正してもらっている」

 元々は理容院を経営していたという渡木さん。まだまだ、この仕事にやりがいと感じています。

理容師 渡木淳さん 「僕らもこの年になってもずっと働けるっていうことはありがたいです。楽しいですね。まあしんどいのもありますけど、まだまだいけそうです」 「(Q.いつまで働き続ける?)あと4年ぐらい」

 経営する側も渡木さんのようなシニアに期待を寄せています。

「WAKAMATSU」採用担当 嶋直之さん 「お客さんに対するあたりや声掛け一つ、どの世代に対してもマッチする接客というのは長けているのかなと。理容師自体が国家資格で成り手が減っている職種ではあるんですが、本当にシニアの方が多い業界なので、どんどん採用を進めていって活躍できる場を提供していきたい」

 超高齢化社会を突き進む日本。「未来の年表」などの著者で人口問題に詳しい河合雅司さんは今後、高齢者の“働く意味合い”が変わってくると指摘します。

人口減少対策総合研究所 河合雅司理事長 「今、現役世代の人たちの老後を考えていくと、高齢者が働くことの様子が変わってくるのかなと見ております。来年の4月から65歳までの雇用義務付けが始まります。現在50歳の人たちが65歳になる時の年金額は約4割が10万円以下の見通し。年金の足しとして働くという高齢期の働き方ではなく、生活費を稼がなければいけない。そういう働き方にこの先は変わってくる」