「年収103万円の壁」の引き上げ額を巡って与党と国民の溝が深まるなか、ここにきて与党が教育無償化を目指す維新と急接近しています。両にらみのなかで、178万円への引き上げはどうなるのでしょうか。

■「教育無償化」維新に与党“急接近”

 来年度の税制改正大綱が19日午後、与党間で合意しました。

 焦点の一つである年収103万円の壁を巡っては、引き上げ額を123万円とすることと将来、目標として178万円を目指すことを明記する方向で調整しています。

 一方、178万円を目指して来年から引き上げることで3党合意した国民民主党は反発。税制をつかさどる財務省が動いているのではと、こんな臆測も…。

国民民主党 役職停止中 玉木代表 「国民民主党と維新と場合によっては立憲民主党と内々に話をして、最も安くつく提案を飲んで本予算の成立を図ろうと。ある程度、維新とやれる算段が付いたこともあったんでしょうかね。そこは分かりません」

 19日から自民党、公明党、日本維新の会による教育無償化に関する3党の実務者協議がスタート。

 来年度予算成立に向け、国民民主党が求める103万円の壁引き上げと日本維新の会が求める教育無償化をてんびんに掛けているのではというのです。

 国民民主党と溝ができる一方、日本維新の会と急接近している与党。103万円の壁引き上げの協議はどうなるのでしょうか。

■「103万円の壁」178万に暗雲?

政治部(与党担当) 大石真依子記者 「自民党は国民民主党との協議に力を入れてきましたが、一方的に打ち切りを宣言されて暗礁に乗り上げています。衆議院では自民・公明で過半数に届かず、予算案や法案の成立には野党の協力が欠かせないなかで、維新との連携も強化しておく狙いがあります。自民党内には『今後は維新や立憲のカードもちらつかせることで国民民主を揺さぶって、議論ももっと与党が主導できるかもしれない』と話す人も」

 そんな与党側の思いを察し取ったのか、日本維新の会の前原共同代表は…。

日本維新の会 前原共同代表 「我々はてんびんに掛けられるつもりは全くありません。我々は国民民主さんの年収の壁の引き上げについては大賛成でありますし、それを邪魔するつもりは毛頭ないと。従って、国民民主さんと協力をして両方とも実現するために、ともに取り組んでいきたいと」

 それぞれの政策実現のために国民民主党と協力する考えを示しました。

 いずれにせよ補正予算が成立した現状、次なるは来年度予算を見据えての協議となりそうです。

政治部(与党担当) 大石真依子記者 「大綱に178万円を目指すと明記することについて与党税調幹部は『国民民主との協議を決裂させてしまうのではなく、つなぎとめておくためだ』と解説していて、国民民主というカードもまだ手に持っておきたい考えです。与党内には来年度の予算案で国民民主からの賛成を取り付けるために、衆議院での予算案の採決が行われる2月末ごろまでに話がまとまるように協議を仕切り直せばいいと話す人もいます」

 一方の国民民主党の幹部も…。

国民民主党 幹部 「じくじたる思いはありますが、これで終わりじゃない。我々も幹事長合意はすごく重いものだと思っているから、環境が整えば、また話をしていきたいとは思っている。リミットは本予算が衆議院を通過する瞬間までだろう。まあ、粘り強く交渉していくしかない」

 178万円を目指して来年から引き上げるとした3党合意。年を越して協議は続く見通しです。