九州から北海道まで各地で雪が降りました。「成人の日」を前に、“雪の門出”となった地域も。

■箱根など関東でも雪 成人の日前に

午前11時半すぎ、大粒の雪が舞う箱根、大観山展望台。遠くの山は雲で霞み真っ白です。箱根では午前中から断続的に雪が舞う1日となりました。 (草薙和輝アナウンサー)「時刻は午後3時、神奈川県の箱根です。この時間になり、細かい雪が舞い始めています。冷たい風も吹き、ぐっと冷え込む天気となっています。今日は3連休の中日ということで、多くの人が訪れていますが、みなさん厚着をしています。」 (観光客)「すごく寒くて…、とっても寒いです。ちょっと雪が降っていて知らずにノーマルタイヤで来ちゃったんでちょっとドキドキしながら…」 「天気が変わらないうちに帰ろうと思います」 関東では厳しい寒さとなり、朝は千葉県の銚子で初雪が観測されました。 薄っすらと雪に覆われた、こちらの映像は奈良公園。撮影者によると、午前7時すぎから約1時間雪が降り、1cm程、雪が積もったといいます。 この日の最低気温0.7℃。奈良は今年に入り早くも5日目の雪となりました。一方、九州では強烈な寒気が流れ込み、山沿いを中心に雪が降りました。 (牛島ひかりアナウンサー)「正午をすぎた長崎市茂里町です。大粒の雪が断続的に降り続いています。町を歩く人も傘をさして歩いている様子がうかがえます。」 最低気温0.7℃を観測した長崎では昼頃から雪が舞い始めました。 Q.寒い? 「さむい~」

■“晴れの日”に…最低気温-3.8℃

各地で雪が降る中、成人の日を前にイベントが行われた所も… (式典参加者)「親に(振袖を)着させてもらって大人になったねと言われた。親の方が感動していて、実感ないけど大切な祝い事なんだなと感じた」 朝の最低気温が-3.8℃となった札幌市。今年度中に二十歳を迎える760人が、寒空の中、式典に参加。一方、千葉県では… 「はいチーズ!」 鴨川シーワールドでは、約160人の新成人を迎え『笑うアシカ』で人気のカンジ君と記念写真。 (式典参加者)「改めて気を引き締めて頑張りたいと思います」

■名物“ド派手成人式”に1児の母(20)

一方こちらは、北九州市の美容室… (金子友広ディレクター)「こちらの美容室では、二十歳を迎えた人たちの着付けやヘアメイクが行われています。時刻は、午前3時半です」 この美容室では、式を迎える100人ほどの予約があり、スタッフを倍の16人に増員。それでも間に合わないと、前日から泊まり込みで準備をしていたと言います。 (ラルガ 長尾祐樹 取締役)「睡眠はとっていないですね。寝られるスタッフで1時間とか。お客様にしたら一生に一度なので、絶対そこは手を抜きたくないので」 北九州の“二十歳の集い”といえば、ド派手な装いで知られています。美容室のお客さんのなかには、こんな人も… 「クレヨンしんちゃんが一番好きで、大人になっても、こんなふうに無邪気でいたいなと思って」 「こっちに毛が欲しいです」 福岡市内に住む坂口愛未さん。北九州市の実家に帰省して、式に参列すると言います。 「寝たのは12時前とか。早めに布団に入ったけど寝られませんでした」 実は坂口さん、去年生まれたばかりの男の子をもつ3人家族。育児のかたわら、1年前から髪を伸ばすなど、準備をしてきたと言います。 Q.ヘアメイクのイメージは? (坂口愛未さん)「イメージは髪は“盛り盛り”で」 ヘアメイクが終わると、そのまま着付けへ。1時間半後、晴れの日の装いが仕上がりました。装いのテーマは白と黒、シルバーにこだわったシックなもの。 「めっちゃ可愛いです」 当初、雪の予報もあった北九州市。式典には8500人が参加しました。会場にはこんな人も… 「まっ金金にして、何度もよみがえる鳳凰のように派手にかましたろかなって。 (費用は) 40万円いかんくらいですね。普段は学生やけん、ここからもう真面目に勉強します。」 一方、坂口さんは、晴れ姿をまず両親に見せたいと、花束をもって実家に戻ります。 (愛未さんの父 山口隆男さん(56))「おぉ、すごいねぇ、いいじゃん、おめでとう」 無言のまま、花束を渡す坂口さん… 「えっ?くれるん?ありがとう!」 思いがけない愛娘からの贈り物に、感極まります。 (愛未さんの父 山口隆男さん)「(高校を)卒業して1年も経たんうちに子ができたとか大変やったね。ここまで頑張ったけんね、あとはもう自分でがんばり」

■死者7人“災害級の大雪”なぜ青森に

年末年始、災害級の大雪となったのが青森県。酸ヶ湯では日本の観測史上、最も早く積雪が4mを超えるなど、平年の3~4倍となっていたところも。 (松田和秀記者)「こちらの建物、雪の影響でしょうか、完全につぶれてしまっています。雪からですね、木材の破片やトタンなどが見受けられます。」 この大雪での死者は7人、負傷者は95人にまで増え、10市町村に災害救助法が適用される事態となっています。大きな被害をもたらした“災害級の大雪”。地元で雪を研究する専門家は今回、ある特徴を指摘します。 (弘前大学 石田祐宣准教授)「特に特徴的なのは雪の量もそうなんですが、それに加えて非常に重たいという特徴があるといえます。」 県内の定点観測では、1平方メートルあたりの雪の重さが536kgと観測開始以来、最大を記録したといいます。 (弘前大学 石田祐宣准教授)「平均すると多くても重量は400kgぐらいなので、25%増しというか、その程度の重さといえます。華奢なものは壊れやすくなるでしょうし、やはり屋根に積もった雪が落雪した場合に、見た目以上にダメージが大きいかなと思います。」

■青森“災害級の大雪”夏の台風影響か

なぜ青森県で“大量の雪”が降ったのか? (三重大学 地球環境学 立花義裕教授)「青森県から見て北西側の日本海に、非常に強い雪雲が次から次へと入っているんです。線上に伸びている降雪帯、線状降雪帯、これが原因だと思います」 災害級の大雨をもたらす線状降水帯ならぬ、“線状降雪帯”。今年は、上空の強い寒気と高い海水温が重なったことが、線状降雪帯の発生に繋がったといいます。中でも教授が注目するのは「海水温」です。 (三重大学 地球環境学 立花義裕教授)「青森の北西側の日本海の海面水温が過去に例を見ないほど高かったんですよ」 平年より特に高い温度を示す日本海の北部。その理由には、海の深さが関係しているといいます。 (三重大学 地球環境学 立花義裕教授)「日本海の北部は海が深いです。猛暑の影響がより残る海域って深い海なんです。深い海全体を冷やさないと冷えないですから、深いところほど冷えにくい」 さらに、去年は台風が日本海を通過しなかったことも海水温が高かった原因だといいます。 (三重大学 地球環境学 立花義裕教授)「台風は海の水をかき混ぜますので水温を下げる傾向があるんですよ」 実際の進路を見ると、日本列島に接近・上陸した数は平年並みでしたが、日本海側に抜けた台風はありませんでした。 (三重大学 地球環境学 立花義裕教授)「猛暑と豪雪・ドカ雪は連鎖する。寒気がドーンとくることはこれからもあると思います。ですからひとたび寒気が来ると豪雪になる。今年だけじゃなくて来年あるいは10年後ぐらいまでの傾向だと思います」

1月12日『有働Times』より