過激な発言を繰り返すトランプ氏。発言の真意は一体どこにあるのか、専門家も交え、じっくり紐解いていきます。
■「アメリカ湾」発言に メキシコ怒り&あきれ
(トランプ次期大統領)「我々はメキシコ湾の名前を“アメリカ湾”に変更する予定だ。“アメリカ湾”。なんと美しい名前だろう。」 トランプ次期大統領が、さっそく無茶を言い出しました。 メキシコの人たちはどう受け止めたのか。私たちが向かったのはメキシコ湾に面する古い港町、ベラクルスです。 (鈴木彩加記者)「こちら目の前には壮大なメキシコ湾が広がっています。このベラクルスという街は国内外からたくさんの観光客が訪れるメキシコ有数のリゾート地として知られています。」 今は冬にあたる季節ですが、メキシコ湾に面したビーチには多くの人たちの姿がありました。それぞれ音楽を聴いたり、食事を楽しんだり。中には、ローラースケートに興じる人も。 (メキシコ人)「怒りを覚える。トランプ氏のわがままで、名前を変えるなんてだめだ。」 「自分中心に回っていると思っていて、他の人を考慮していない。」 「メキシコ人のアイデンティティーも奪われることになる。」 「同意できない。変な話じゃないか。ペットの名前を変えるような話じゃないよ。」
メキシコの大統領も、すぐさま反論。 (メキシコ シェインバウム大統領)「国連は“メキシコ湾”という名前を承認しています。」 さらに北米地域が「メキシカン・アメリカ」と書かれた17世紀の地図を持ち出しやり返しました。 (メキシコ シェインバウム大統領)「(北米地域を)メキシカン・アメリカと改名してはどうでしょう。良い響きではないですか。」
■25%関税にメキシコ「雇用が心配」の声
大統領就任前から、他国との軋轢を厭わないトランプ氏。その行動原理は、徹底した「アメリカ第一主義」です。 (鈴木彩加記者)「このあたりは工場が立ち並ぶエリアなんですが、自動車に関連するものが非常に多いです。製造された車の多くはアメリカに向けて輸出されるということなんです。」 トランプ氏はアメリカ国内の産業を守るため、就任初日に、メキシコからの輸入品すべてに25%の関税を課すと宣言。7日の会見でもあらためて… (トランプ次期大統領)「過去最多の麻薬が輸入されている。メキシコとカナダに関税をかけることで、その埋め合わせをするつもりだ。」 自動車関連の工場で働く人たちは。 (自動車関連会社で働く人)「関税の引き上げは過去にもやっているし、私はやると思う。」 「アメリカに送る、すべてのものに25%の関税をかけたら、メキシコの経済に大きな影響が出ると思う。」 メキシコには日産やトヨタなどの日系自動車メーカーも工場を構えています。日系の自動車部品メーカーに勤める男性は、仕事が無くなることを危惧していました。 (日系の自動車部品メーカーに勤める人)「脅威ですね。家計にも大きな影響が出るだろう。失業しないかとても心配だ。住宅ローンを組もうとしているが、もうちょっと先が見えるまで待つ。」
■「グリーンランド必要」で軍事行動?
トランプ氏の過激な発言は、メキシコだけでなく、世界のあちこちで波紋を広げています。 (トランプ次期大統領)「国家安全保障のためにグリーンランドが必要だ。」 中国やロシアが活動を活発化する、北極圏にあるデンマーク領グリーンランドを購入すると言い出し… (トランプ次期大統領)「“パナマ運河”をパナマに与えたのは非常に大きな間違いだった。」 パナマ運河についても、アメリカの船舶に対する通航料を「ぼったくり」だとし、是正されなければ、パナマ政府から管理権を取り戻すと主張。目的達成のためには軍事行動も辞さない姿勢です。 Q.軍事・経済的な強制力を行使しないと確約できるか? 「確約できない。パナマとグリーンランドの話だろ。経済的安全保障のために必要だ。」
■メタ社もSNSファクトチェック廃止
一方、アメリカ国内では、トランプ氏と対立してきた企業がすり寄るような動きも。 (メタ ザッカーバーグCEO)「フェイスブックとインスタグラムは表現の自由の原点に立ち返ります。」 メタ社のザッカーバーグCEOは、7日、投稿の真偽を第三者機関が検証する「ファクトチェック」をアメリカで廃止すると発表しました。 実はこれまでトランプ氏は「ファクトチェック」について、保守的な内容の投稿を不当に制限する「検閲行為だ」と繰り返し批判。 一方で、メタ社は2021年1月のアメリカ議会襲撃事件で、トランプ氏の投稿が暴力をあおる恐れがあるとして、アカウントの凍結に踏み切りました。2人は険悪な関係に陥り、トランプ氏がザッカーバーグ氏をこう脅したことも。 「私が大統領に選出されたら、選挙詐欺師をかつてないレベルで追及し、刑務所に長期間送ることになるだろう。」 今回のファクトチェック廃止にトランプ氏は… (トランプ次期大統領)「記者会見を見たが、とても良い会見だったと思う。」 Q.過去に彼を脅した結果だと思いますか? 「たぶんね。」
■SNSフェイク拡散「カオス状態」も
実際にメタ社と契約し、ファクトチェックを行う会社の創業者、アラン・デューク氏です。 (ファクトチェックを行うリードストーリーズ社 創業者 アラン・デューク氏)「(去年の大統領選で)ハイチからの移民が近所のペットを盗み食べているという主張がありました。私たちはすぐにファクトチェックをして、間違いだと証明しました。」 ファクトチェック廃止の決定は、ザッカーバーグ氏の動画で初めて知ったと言います。 (アラン・デューク氏)「ショックで失望しました。でも驚いてはいません。選挙結果が影響していると思う。ファクトチェックは検閲ではない。新しい情報を追加することです。彼らはプラットフォームを危険な方向に導き、カオスな状態にしかねない。」
1月12日『有働Times』より
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