福島第一原発にたまる処理水の海洋放出について、安全を強調する国のチラシが全国の学校現場に送付されていたことを受け、宮城県議会の野党会派が県内の児童生徒に配布しないことを求める要請書を県に提出しました。

 チラシは経済産業省資源エネルギー庁と復興庁がまとめた2種類があり、文部科学省が毎年、全国の小中高校に配布する放射線問題の副読本と一緒に2021年12月ごろに送付されました。

 チラシは放射線物質のトリチウムが含まれる処理水が安全だと強調する内容で、各自治体の教育委員会に相談がないまま、学校に直接、送付されていたということです。

 県議会の4つの野党会派は、県内の児童生徒に配布しないことを求める要請書を県の教育委員会に提出しました。

 みやぎ県民の声ゆさみゆき県議「子どもたちの教育に対して、非常に情報不足であるという問題点がある。正しい情報を提供されずにチラシが配られたということを問題視している」

 資源エネルギー庁は「海洋放出の風評被害を解消させるために、処理水の安全性について児童生徒の理解が必要だと考え配布した」としていて、回収は考えていないということです。

 また、教育委員会に事前の連絡がなかったことについては「副読本に処理水に関する内容を盛り込んだため、チラシは補足説明の資料としての位置づけだった」との認識を示しました。

 県教育委員会の伊東昭代教育長は「直接学校へ配布されたことで混乱を招いていることは問題」と話し、国に対して学校への配布物については事前の情報提供を行うよう求めるとしました。