福島第一原発の『燃料デブリ』の取り出し作業が22日に始まる予定でしたが、初日の着手直前に手順のミスが発覚し、中断。廃炉への大きな1歩は初日からつまづく形となりました。

東京電力の会見 「作業員が押し込みパイプ1本目について、計画していた順番のものと異なることに気付いた」

今回の試験取り出しは、釣り竿型の装置を遠隔操作で格納容器の中へ送り込み、先端を吊り下ろして溶け落ちた燃料デブリに接触。最大3グラムのデブリを外に持ち出す計画です。

この装置を送り出す最初の段階で、人の手による作業が発生します。1.5メートルの押し込みパイプ5本を作業員が交代しながらつなげていき、装置の長さを伸ばしていくというやり方です。

この5本の接続パイプの中には、遠隔操作のためのケーブルが通っていますが、準備段階でパイプの順番を間違えていました。

東電は「初歩的なミス」としたうえで、詳しい原因を調査するとしています。

東京電力・小早川智明社長 「去年は福島第一原発で身体汚染や、年始には汚染した水を建屋から漏洩(ろうえい)させてしまったり、数々のヒューマンエラー、トラブルがあった。まずは安全かつ慎重に進めることこそが、地元の復興にも地元の皆様の安心にも重要と考えている」

そもそも燃料デブリの取り出しは、コロナ禍による開発遅れや装置の不具合などで、これまでに3度延期しています。

今回のミスを受け、福島県は東電に再発防止を申し入れました。

福島県危機管理部 伊藤繁政策監 「デブリに関しては、やはり1つ間違いが起こると大きな影響が及びかねない。東京電力として、もう一度確認を徹底していただいて」

安全を考えれば、やむを得ない中断。ただ、残る880トンのデブリを思うと、悲観的にもなります。

女性 「多分、取り出し終わるころは、私らはもうあの世にいってる。だけど、今生きている以上、報道でテレビで聞いたりすると、何をやっているんだと思う。やっぱり」