アメリカ大統領選に向けた民主党大会3日目。

クリントン元大統領が演説し、ハリス氏への支持を訴えました。

クリントン元大統領 「今年の選挙で投票すべき候補者は明白です。『国民のためのハリス氏』か『1期目よりも身勝手な自己中男』か。私たちにはカマラ・ハリス、“喜び”の大統領が必要です」

ペロシ元下院議長は、議会襲撃事件のことを持ち出しました。

民主党・ペロシ元下院議長 「かつて大統領がはずかしげもなく、民主主義の基盤を襲い、喜々として政治暴力を歓迎し、宣誓の言葉を裏切った例はありません。その日を忘れないでください。民主主義を襲ったのはトランプ氏です」

そして、この日のテーマを端的にうたいあげたのが、テレビ司会者のオプラ・ウィンフリー氏。

司会者 オプラ・ウィンフリー氏 「選択しましょう、真実と誠実さを。選択しましょう、喜びを。それがアメリカだから。なによりも、自由を選択しましょう。それがアメリカだから。みんなアメリカ人です。ともにカマラ・ハリスを選択しましょう」

今回、民主党が大きなテーマに掲げているのが、人工妊娠中絶の権利です。

連邦最高裁は2年前、中絶の権利を合憲としてきた今までの判断を覆しました。トランプ政権下で保守派の判事が多数派となった末のことです。これを受け、一部の州では、中絶が全面禁止になるなど、規制が強化されたことに批判が噴出しています。

かつて、ほぼ全面的に禁止されていた人工妊娠中絶。1万人を超える女性の中絶手術を手助けした地下組織がありました。

実際に中絶の施術を行い、逮捕されたマーサ・スコットさん(82)。翌年、最高裁が合憲と認めたため、無罪放免となりました。その最高裁判断が、約50年の時を経て覆されました。

マーサ・スコットさん 「中絶をしたくても施術を受けられない女性たちがいて、私にできるなら、やりたいと思いました。これは正しいこと。後悔は少しもありません。(Q.若い世代に伝えたいことは)私が常に言いたいのは、投票に行って!大事なことです」

この日の主役、副大統領候補に指名されたウォルズ氏も“自由”を強調しました。

民主党副大統領候補 ティム・ウォルズ氏 「この選挙で一番大事なのは“自由”です。共和党の言う“自由”とは、政府が“自由”にあなたの通う病院に乱入し、大企業が“自由”に空気や水を汚し、銀行が顧客を“自由”に利用できるという意味です。民主党が“自由”を語るとき、それは自分自身と愛する人々の生活をより良くする“自由”を指します。トランプが、ホワイトハウスに舞い戻れば、中流家庭の負担を増やし、医療保険制度を廃止し、社会保障を削減し、議会の意向に関係なく、全土で人工中絶を廃止するでしょう」

元高校教師で、弱小アメフトチームを州大会で優勝に導いたウォルズ氏。会場では『コーチ ウォルズ』と書かれた無数のボードが掲げられています。

民主党副大統領候補 ティム・ウォルズ氏 「教師だったころ、生徒会長を選出させていました。10代の子たちは、指導者の意味をドナルド・トランプに教えることができる。指導者は、侮辱や非難に明け暮れることはしない。指導者は行動する。私はトランプがつづった章をめくる準備はできている。さあ、みなさんも『後戻りはしない』」

◆副大統領候補に指名されたウォルズ氏が、受諾演説に臨みました。アメリカメディアはどう評価しているのでしょうか。

民主党寄りとされるリベラル系メディアのニューヨーク・タイムズです。 ウォルズ氏について「ほぼ無名の知事から党の大物へと驚くべき変身を遂げて、中西部出身の経歴を強調しつつ、現場主義と愛国心を重んじる候補とアピール」したと評価していて、「民主党に対する反感を強めている農村部や白人労働者階級の有権者、特に男性の支持を失うのを食い止める」などとしています。 

アメリカ3大ネットワークに数えられるABCとCBSです。 ABCは「ウォルズ氏は党大会での演説で自分の役割を全うした。忠実なナンバー2として、上司を後押しする任務を果たした」としています。 CBSは「中西部出身であることをアピールする熱のこもった演説で国民に自己紹介した」と、いずれも好意的な論調です。

一方で、民主党に厳しい論調で知られる保守系のFOXニュースは、ウォルズ氏の軍でのキャリアについて批判的に報じています。 演説の中で「24年間、誇りを持って軍服を着た」と語った点について、「ウォルズ氏は、かつて所属していた部隊がイラクに派遣される少なくとも5カ月前に退役したという批判が高まっている。論争中にもかかわらず、自身の兵役を誇示した」と批判的に報じています。さらに、スピーチの長さについても「過去40年で最も短い副大統領指名受諾演説」と批判しています。