台風10号が九州に上陸し、列島を横断しています。

■“台風10号”横断中 ノロノロ×迷走

 不気味な音とともに濁流が渦巻く川。水かさが増していく川岸には住宅が立っています。

 大分県別府市の住宅地を流れる朝見川は普段、段差の流れも穏やかですが、台風の大雨で水の量も勢いも様変わり。波打つように激しく流れていきます。

■JR別府駅前が“冠水”

 大分県では29日午前6時37分に線状降水帯が発生。顕著な大雨に関する情報が出されました。

 別府市の周辺では8月の観測史上、最大となる72時間雨量541ミリを記録しました。市街地は広い範囲で冠水する被害が出ています。

 JR別府駅前は大きな池ができたかのように大量の水がたまっています。バスやタクシーが止まるロータリーです。

 普段の様子と比べてみると、被害の大きさが見えてきます。歩く人の、ひざくらいまで一面に水がたまっているのが分かります。

 市街地の冠水は各地で。大分県佐伯市では川が氾濫し、住宅があるエリアは一面、泥水に覆われています。

 28日夜の写真。雨で川の水かさが徐々に増していきます。29日朝、川の右側の道路は見えていましたが、午後1時には住宅の前の道路は冠水しました。

 自宅アパートの3階から撮影した人は…。

撮影者 「川も氾濫しそうな感じがなかったので、どんどん水位も上がってびっくり。きょうの昼くらいで一気に(冠水した)。玄関口はもうちょっとで浸水しそうな感じ。道路から1メートルくらい(水が)上がっているのでは。外に避難できない、あの状態なので。道路も水で埋まっているので車も出せない。出したら多分、流される」

 午後4時にはいったん雨は落ち着いたものの、住宅地を覆う水はそのまま残っています。

 小学校などがある市街地でも被害が…。県道沿いのコンビニ店の駐車場は全体が冠水。道路との境も分からなくなっています。

■大分県4市に「緊急安全確保」

 台風がもたらした大雨は人々の生活に甚大な被害を及ぼしています。

 大分県宇佐市の駅館川は午前9時15分に警戒レベル4にあたる氾濫危険情報が発表されました。そして、1万5712世帯に警戒レベル5にあたる緊急安全確保が出されています。

 大分県由布市を流れる大分川でも氾濫危険情報が発表されました。濁流が住宅の高さにまで迫っています。

 大分川支流の宮川が氾濫し、1256世帯に緊急安全確保が出されています。

 また、大分県豊後高田市は午後2時40分、市内全域の1万999世帯の2万1804人に緊急安全確保を発令しました。

■最新の進路は

 台風10号は過去最強クラスで九州に接近し、午前8時ごろ、鹿児島県に上陸。

 迷走する台風、この後の進路はどうなるのでしょうか。

 台風10号はこの後、東の方向に進み、九州を横断する見込みです。さらに、その後もゆっくりとしたスピードで西日本、東日本を横断するとみられます。

■台風10号“横断中” 強風で外灯折れる

 午前中から強い雨と風に見舞われた熊本県内。

 熊本県人吉市では縁側のひさしが壊れ、吹き飛びそうな状態になった家が…。応急処置を施したといいます。

住民 「初めて。今までこんなことなかった」

 各地で川の水位も上昇。熊本県南部を流れる川辺川は清流として知られていますが、その水は茶色く濁り、堤防ギリギリまで増水していることが分かります。

 午後5時すぎ、宮崎県国富町では道路が冠水して通行止めに…。

 ゆっくりと北上を続ける台風10号。30日未明に最接近する見込みの福岡県では、すでに強い雨が降りました。

 福岡県太宰府市では風の影響でしょうか、外灯がポッキリと折れてしまっています。

 雨と風は四国にも…。

 高知県の桂浜では強風が吹き荒れました。

 愛媛県と高知県を流れる仁淀川では、水が橋に迫りました。通常時と比べると、だいぶ水位が上がっているのが分かります。

 30日にかけて強風域に入る高知県。瞬間的に30メートルを超える暴風になる可能性があります。

 その対策が…。

 残されているのは台座だけ。幕末に活躍した坂本龍馬ら三志士像。28日、強風に備えて5年ぶりに撤去されました。