深刻な米不足は、この先も続くのでしょうか。

■青森 ライス無料“制限”でも…

 新米が出始めるなかで、米の品薄状況は続いています。全国で影響が拡大するなか、各地の取り組みを取材しました。

 青森県では町中華の「らーめん工房 繁」の人気メニューが「チャーハン」。他にも“ご飯もの”が豊富で、注文の半数ほどが“米”を使ったメニューです。

らーめん工房 繁 中居林繁夫オーナー 「(Q.どれぐらい米を毎日準備する?)大体10キロ。10キロに対して、(価格が)1000円ぐらい上がっている。すごくダメージがある。ショックですよ」

 実は、店の人気を支えているのは“ライスの無料サービス”。麺類を注文するとライスが1杯無料。ランチ定食は、おかわり2杯まで無料に。

常連客 「麺類と(無料の)ライス、必ず決まっている。(無料は)ありがたいです」

 今後は新米が流通する時期となるため、“ライス無料”は継続しますが、流通量が増えても価格は簡単には下がらないと予想しています。

中居林繁夫オーナー 「1年半ぐらい前にちょっと値上げした。でも、それやると客は敏感。(値上げは)怖い」

 メニューの“値上げ”は集客に直結することから、今の米価格で少しでも多くストックする対策を取るということです。

■岩手 新米“販売制限”5キロまで

 岩手県では…。

佐々木米穀店 佐々木尚人専務 「買い方が今までにないような尋常じゃない感じ」

 店にあった秋田県産「サキホコレ」を購入した客は…。

購入者 「自宅用ではなく、東京に住む姉に送るために。『(東京で)売っていないからちょっと買って来て』と」

 この店では、このままではすべての在庫が底をついてしまうため、苦肉の策として現在、客1人が購入できる量を5キロに制限することに。

佐々木尚人専務 「ちょっと一番もどかしい」

■長野 米代わり?パスタが好調

 長野市のスーパーでは、“米の品薄”でこんなところに影響が…。

台東食品アークス本店 掛川健彦店長 「乾麺関係、特にスパゲティが売れている」

 スパゲッティの売り上げが3割も増加しているといいます。

 スーパーに待望の米が納品。2週間ぶりに来た米は10キロと5キロ、それぞれ20袋。

掛川健彦店長 「今だと入荷したら一気になくなってしまう。その日ではなく、数時間でなくなる」

 米を手に入れた客は…。

来店客 「コシヒカリ」 「本当だ。おいしそうですね」 「(米が)あるとないとでは違うので、精神的に」

■新米入荷も“高すぎ”不足は続く?

 広島市のスーパーです。ずらり新米が並べられた商品棚。ただし、問題は価格です。岡山県産の「あきたこまち」5キロの値段は品薄になる前と比べて、500円から1000円の値上げをしています。

■「新米買える!」電話殺到の場所

 新潟県では米農家の男性が直売所に新米を運び込んでいます。

岩渕農場 岩渕高雄さん 「毎日来ています。毎日来ても昼くらいには『足りない』という電話が来るので」

 新米の価格は、ここでも軒並み3割前後の値上げに…。その背景には生産者側のこんな事情もあるようです。

岩渕高雄さん 「農薬・肥料・農機具に関してもどんどん値上がりしている。この価格を維持していかないと、米農家はやっていけない」

 米農家の倒産・廃業などの件数は今年、先月までに34件。過去最多のペースで増えていて、初めて年間40件台に到達することも想定されます。

 将来的には、主食の米が安定的に手に入らなくなる事態も懸念されています。

 そうしたなか…。

 米が手に入ると問い合わせが殺到している場所が。稲刈り作業中にも電話対応に追われていました。千葉県香市の米農家。

浅野ファーム 浅野浩代表 「ほら米不足でホームページから注文入れてくれて」

 小売店ではなく、米農家から直接買うという手法。この農家でもネット通販に対応。注文が殺到しているといいます。

浅野浩代表 「正直言うと、え?こんなに来るの?って。しっちゃかめっちゃか。倍以上、3倍くらい」

 こんな方法もあります。「年間契約」です。石川県、有機米を中心に出荷している米農家です。

 たとえば、「天地の誉」を年間契約で毎月5キロずつ配送してもらう場合、合計60キロで10万3080円。5キロ換算で8590円なので、通常の3倍以上の値段ですが…。

ほんだ農場 本多宗勝さん 「『もう米がほとんどなくなっている』と電話が掛かってくる。ちょっとあせくらしい(慌ただしい)くらい電話に出てます」

 米どころ、岩手の知事は…。

岩手県 達増拓也知事 「日本が普段、米の生産量をギリギリ少なく抑えていくことを長年にわたってやってきた結果、ちょっとの需給ギャップの変動で心理的に価格や量のストレスがかかる状況が生まれやすくなっている。ゆとりある生産体制を維持していくことが大事」