各地で猛暑日を記録。これから旬を迎える「秋の味覚」にも異変が起きていました。

■全国81地点で猛暑日今後1カ月続く予想

(草薙和輝アナウンサー)「時刻は午後3時を過ぎました。愛媛県松山市、この時間も肌に突き刺さるような強い日差しを感じます。あちら路面電車を待つ人もうちわであおいだり、日傘をさしたりと暑さをしのぐ様子が見られます」 関東から西日本にかけ、朝から気温がグングンと上昇。全国543地点で真夏日となりました。 Q.大丈夫?一気飲みしなくていいよ? 「だって目が暑いから」 福岡県久留米市では、最高気温36.6℃を観測。全国81地点が猛暑日となっています。 (宇都宮康汰記者)「肌を突き刺すような日差しが降り注ぐ山口市内です。きょうこちらでは鮎のつかみ取り大会が行われていて、子どもたちが我先にと鮎を鷲掴みにしています」 9月の最高気温を更新した山口市。地元漁協が開催した鮎の掴み取り大会は大盛況です。 鮎が美味しそうに焼けましたが…子どもたちの興味は、鮎のいないいけすに。大会が終わっても、水遊びに夢中です。 「めっちゃ暑い」 (子どもが大会に参加)「8月と変わらないくらいの暑さが、まだまだ続いていますね」 気象庁は今後1カ月程度は、気温の高い状態が続くとして、熱中症対策などに加えて、農作物や家畜の管理に十分注意するよう呼びかけています。

■巨峰の色付き悪く寒暖差の“小ささ”影響

長引く暑さは、すでに“食欲の秋”を直撃していました。 (草薙和輝アナウンサー)「厳しい暑さが続く、福岡県久留米市の果樹園です。こちらでは連日の暑さで果物に影響が出ているということです」 「挟め、挟め、もっと、もっと、ぐっと、いえーい」 毎年、ブドウ狩りに来ているという親子。家族で協力しての収穫です。 「めっちゃ暑い」 Q.疲れた? 連日の暑さによって、“秋の味覚”ブドウに起きていた異変は。 (高山果樹園 高山一三園主)「こういう感じで、ちょっと赤熟れのような感じですね。ちょっと薄いピンクとかになりまして」 通常、濃い紫色の巨峰ですが、今年はうまく色がつかないものが多いそうです。ブドウは昼夜の寒暖差が大きいほど色づきが良くなるとされますが、今年は夜も暑く、寒暖差が小さかったことが一因だと言います。 (高山果樹園 高山一三園主)「暖かくなりすぎて、本当に夜温と、寒暖の差、温度差がないもので。(色づきは)もうあまり進まないんじゃないかなと思いますね。だから商品にはちょっと使えないです」 さらに、こちら“秋の味覚”カキも。暑さでダメージを受けていました。 (高山果樹園 高山一三園主)「これもやけどですね。もう商品にならないです。日焼けです、日光が強くて。これをこうハサミで落とすんですけどね、もう商品価値ないもんで」 Q.48年やられてきて、こういうことはありました? 「初めてですね」 収穫時期の10月を待たずに、すでに1割が商品にならない状況だと言います。

■“海の幸”ブリ「海水温高く」被害は1000万円超

今年の夏は海水温も高くなり、“海の幸”にも、影響が出ていました。 (草薙和輝アナウンサー)「午前5時です。高知県の宿毛湾のいけすから養殖ブリが水揚げされていきます。大きくて生きのいい養殖ブリです」 次々と水揚げされるブリ。豊後水道に面した高知県宿毛湾は養殖業が盛んで、こちらの水産会社では、年間30万匹のブリを育てています。沖合のいけすに向かうと。 (草薙和輝アナウンサー)「こちら死んだ魚ですかね。浮いているのが見えます。1キロほど離れたいけすなんですが、ご覧のようにですね、網の近く死んでしまった魚が浮いている様子が分かります。かなり数ありますね。ここから見るだけでも10匹以上は浮いていますね」 (荒木水産 荒木俊慶社長)「海水温が高くなりすぎると、魚は死んでしまったりするので」 Q.1~2℃の違いでも大きな影響? 「魚にとっては本当にすごいしんどいと思います」 Q.対策はあるんですか? 「対策のしようがなくて」 いけすの底にも…。死んだブリが大量にたまっていました。 これは特に被害が大きかった先月の映像です。 「やばいね。これ」 約40カ所あるいけすで合わせて2700匹ほどが死んでいて、被害額は1000万円以上にのぼったと言います。 この時期、日本近海の海面水温は、平年に比べて高い状態で、宿毛湾の周辺も、平年より2~3℃高かったことがわかります。海水温の上昇は、思わぬ被害も引き起こしていました。 「でかっ、普通に泳ぎよるやん」 いけすの中を悠々と泳ぐサメ。網を食い破って侵入したと言います。 「これ2メートルあるよ、全然ある」 (荒木水産 荒木俊慶社長)「今年も7月入ってから、うちだけじゃなくてまわりの養殖業者もやられているので、(サメの出没も)海水温の影響があると思います。暖かいところを好んでくるので、9月いっぱいは海水温とか、病気の影響でまだまだ死ぬような気がしているので、ちょっと怖いですね」

■「8月は全滅」パクチー不足で苦肉の策

暑さの影響は、こんなところにも。 「すみません。お待たせしました」 川崎市にあるベトナム料理店。ベトナム風サンドイッチのバインミーやフォーなど、ほぼすべての料理に使っている食材が“パクチー”です。 (来店客)「パクチー好きです。欠かせない。パクチー単体でも好きなくらい」 「やっぱりパクチーがないとちょっと物足りなくなる」 パクチーを目当てにやってくるお客さんも多いと言いますが、深刻なパクチー不足に陥っていました。 (フジマルサイゴンプロパガンダ 藤原ヒラメ店長)「量が4分の1くらいで、値段が倍って感じですね。(パクチーが)入ってこない日もあります。値段の上がり方もちょっと異常ですね。あったとしても」 こちらの店が打った一手は。 (フジマルサイゴンプロパガンダ 藤原ヒラメ店長)「ハーブをめちゃくちゃ多めに入れるようにしています。かさ増しという感じもあったりするから、あまり残念な見た目にならないようには基本しています」 パクチーに何が起きているのか。千葉県八千代市の生産者を訪ねると。 (専業パクチー農家 立川あゆみさん)「ここが今、私が育てているパクチーの畑なんですけれども、見ていただいて分かる通り、ほぼ今パクチーが育っていない状況で、8月はもう全滅で、飲食店さんにも出せなかったですし…」 通常は作付けから2カ月ほどで収穫できますが、今年は3カ月以上かかると言います。一見、暑さに強そうなパクチーですが、実は、とても暑さに弱いのです。 (専業パクチー農家 立川あゆみさん)「25℃前後の春と秋くらいの気温が一番パクチーが育ちやすいですね。特に今年の夏くらい暑くなってしまうと、まったく育たなくて、この暑さが収まらないと、やっぱりどうにもならないっていうか…」 暑さの影響などで、身近な野菜の価格も軒並み上がっていて、タマネギやジャガイモは平年より3割ほど、トマトに至っては4割近く、高くなっています。

9月8日『サンデーステーション』より