IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長は9日、イランによる核開発に必要な高濃縮ウランの生産について「大幅な増産を加速させている兆候はない」と述べました。

グロッシ事務局長 「(イランは)いくつかの作業を行っているが濃縮ウランの大幅な増産を加速させていることを示す兆候は何もない」

 IAEAの定例理事会が本部のあるオーストリアのウィーンで9日から始まり、グロッシ事務局長はイランの新しい指導部と近い将来、核問題について協議を再開すると明らかにしました。

 イランでは5月、ヘリコプターの墜落事故で当時の大統領と外相が死亡し、「核合意」の再建に向けた対話が途絶えていました。

 核兵器の開発には濃縮度90%の「兵器級ウラン」が必要とされていて、イランはすでに濃縮度60%のウランを貯蔵していることが確認されています。

 2015年の「イラン核合意」では、欧米などが制裁を解除する見返りにイランが濃縮度を3.67%以下に制限することやIAEAの査察を受け入れることなどが決まりましたが、2018年にアメリカのトランプ大統領(当時)が一方的に離脱したため、その後、イランが核開発を再開していました。