夜が明けたばかりの軒先に現れたのは、体長1メートルほどの“仁王立ち”したクマ。遭遇した新聞の配達員とのにらみ合いが続きました。

兵庫県養父市で10日早朝に撮影された映像では、ゆっくりと近付いてきたクマが、すくっと“仁王立ち”。15歩ほど後ずさりしながら、首を左右に振って見渡すような仕草をみせました。撮影したのは新聞の配達員でした。

クマに遭遇した 長島敏行さん 「毎朝、新聞配達をしている途中で。動画を止めてからちょっと進んで、先ほど配達した読者さんとご主人が外に偶然出ていたので『そこにクマがいますので』という話をして『気を付けてくださいね』みたいな形で先に進んだ」

これまでも動物との遭遇や接触は多く、身を守るために配達は車で行っているといいます。

クマに遭遇した 長島敏行さん 「さすがに立ち上がった時には、ちょっと怖いなという思いはあったが“クマよけの鈴”とよく言われるが、さすがに暗いうちから鈴をリンリン鳴らしながら配達するのも、かえって安眠妨害かなと」

養父市では、7月にも72歳の男性がクマに襲われ、病院に搬送される事件も起こっています。市役所によると、目撃情報は今月だけでも8件あり、民家の近くからも寄せられています。

近隣住民 「こいつはちょっと怖いから、すぐ(役所に)電話して、おりを設置して絶対に捕ってくれと」

クマの“仁王立ち”はいったい何を意味しているのでしょうか。

酪農学園大学 佐藤喜和教授 「車には気が付いていたが、人に直接気が付いていない雰囲気。途中で気が付いて驚いて立ち上がったと。(Q.仁王立ちするのはどういう状況)立ち上がって気配や様子を伺う時も。決して人を威嚇するために立ち上がっているわけではない」

また、映像を見た佐藤教授はこんな指摘も。

酪農学園大学 佐藤喜和教授 「立ち上がった時に、乳房のあたりに跡のようなものがある。もしかしたら子グマがいて、授乳していたメスグマなのでは。クマの冬眠というのは、暖かい状況で秋の遅くまでエサが十分にあれば、その期間が短くなることもある。生活圏の近くまでクマが出没するようになってきているのは、おおむね全国的な傾向にあるので、生活圏や山間に入り組んでいる地域では注意が必要」