レバノンへの空爆を続けるイスラエル軍ですが、戦闘が中東全域に拡大する懸念が高まっています。

29日、イスラエル空軍の戦闘機が向かった先は、イエメン西部の港湾都市・ホデイダ。数十機の航空機で、発電所や港を攻撃したと明らかにしました。イランの支援を受ける反政府勢力『フーシ派』が、軍事物資や石油、イランの武器を輸送するために使用していたとしています。

イスラエルは、「28日に空港周辺にミサイル攻撃を受けたことへの報復だ」としていますが、別の狙いも垣間見えます。

イスラエルが戦闘を続けるハマスや、レバノンのヒズボラと共にイランの支援を受けているのが、イエメンの反政府勢力『フーシ派』です。イランのもとで“抵抗の枢軸”と呼ばれ、ハマスやヒズボラに協力する姿勢を示しています。

今回の攻撃は、レバノンへの地上侵攻を視野に入れるイスラエルにとって、イエメンのフーシ派がヒズボラに加勢してこないように、けん制する狙いもあったとみられています。

イスラエル軍・ハレビ参謀総長 「ヒズボラには強い力で、対応し続ける。これがいまの最重要課題だが、他にも備えないといけない」

一方、イスラエル軍が攻撃を続けるレバノン。ヒズボラの指導者・ナスララ師が27日、空爆で殺害されましたが、こちらも事態は収まりません。

29日、一連の攻撃が始まってから初めて、ベイルートの中心部が攻撃を受けました。

この攻撃で、レバノンに拠点を置く左翼組織『パレスチナ解放人民戦線』が、幹部3人が死亡したと発表しています。つまり、ヒズボラ以外の組織を狙った攻撃にも、イスラエルが踏み切ったということです。

アメリカ・バイデン大統領は、近く、ネタニヤフ首相と電話会談する予定です。

アメリカ・バイデン大統領 「(Q.中東での全面戦争は避けられそうか)絶対に避けねばなりません」