現在日本では食品ロスで廃棄される食品が年間約472トンで、国民1人当たりに換算すると1日に103グラムおにぎり1個分ごはんを廃棄していることになります。食品ロスを削減しようと、仙台市が行っているサービスとその課題です。
小瓶に入ったラズベリーやブルーベリーのジャムは、定価850円からの商品ですが価格は510円です。賞味期限が迫っていることから値引きされましたが、店頭ではない所で販売されています。
日本の食品ロスを解決しようと注目されているのが、フードシェアリングサービスです。廃棄されそうな食品とそれを欲しい消費者とを結ぶ食品ロス解消のためのサービスです。
G-Place公共イノベーション事業グループ西日本営業チーム中島啓介マネージャー「誰かに食べられる目的で生まれた食べ物が捨てられてしまうという、道徳的な部分の側面もかなり重要な問題になっているのではないかと思います」
フードシェアリングサービスの中でもタベスケは、自治体と連携したサービスで全国31の自治体がシステムを導入しています。
仙台市家庭ごみ減量課菊池弘行課長「主に家庭から発生する食品ロスの削減について様々な取り組みを行ってまいりましたが、事業系における食品ロスの削減の取り組みも必要だろうということで、2022年10月からワケルくんもったいないマルシェを導入している」
仙台市の食品ロス量は2019年の調査では家庭から1.8万トン、飲食や製造業などの事業系から1.3万トンとなっていて、中には全く手をつけていない食品が2400トンも含まれていました。
仙台市は事業系の食品ロスを少しでも減らそうと2022年からタベスケを導入し、ワケルくんもったいないマルシェとしてフードシェアリングサービスを始めました。
飲食店が消費期限などを理由に売れ残ってしまった商品などを専用サイトに出品し、事前登録した利用者がウェブ上で商品を予約して店舗で直接商品を受け取ります。
ランチ営業を行っているJR仙台駅東口の飲食店も、ワケルくんもったいないマルシェを利用しています。色とりどりのおかずが詰まった弁当は通常550円ですが、ワケルくんもったいないマルシェを通じて購入すると27%オフの400円です。
毎日30個ほど弁当を店頭販売のために用意していますが、売れる数は店長でも読めません。
ぼんてん漁港仙台東口店大槻夕子店長「雨の日とか日によっては今までに10個くらい捨てるだけということがあって」
米不足と言われていた時に、まだ食べられる弁当を廃棄せざるを得なかった状況が心苦しかったこともありました。
ぼんてん漁港仙台東口店大槻夕子店長「とにかくもったいない。いくらかでもお金になればということは最初ありましたが、とにかくもったいないという思いがあって」
仙台市若林区のパン屋も、2年前からこのサービスを利用し始めました。
マリアージュドゥファリーヌ仙台店丹野真理子副店長「直接地元の農家さんが食材を持って来てくださるので、そういう方の顔も知ってますし。製造スタッフは朝5時から来て焼いてっていうパンだったので、心苦しいというところだけがずっとあった」
午後5時の閉店後には、60個ほどのパンが残りました。
マリアージュドゥファリーヌ仙台店丹野真理子副店長「平日では平均的な方ですね、残りは」
閉店間際に来店する人のことを考えると、製造個数を減らすのも難しいところです。これまでは残ったパンはラスクにするなど二次加工に回すことはあったものの、加工できないパンはそのまま廃棄となっていました。
ワケルくんもったいないマルシェ導入後は、消費期限が翌日までのパン1500円相当を詰め合わせて35%オフの980円でサイトに出品するようになりました。
導入前のパンの廃棄は多い時で月600個でしたが、導入後には月260個まで減少し食品ロスの削減につながっています。とはいえロスがゼロになったわけではなく、まだまだ課題も残っています。
マリアージュドゥファリーヌ仙台店丹野真理子副店長「最近は予約数が減っているのでそこが課題ではあるので。始めた当初よりは予約が入ることが少なくなっている」
ワケルくんもったいないマルシェの登録者は、スタート時に2000人でしたが2年が経過しても9200人にとどまっています。店では認知度向上のためちらしを作るなどしていますが、食品ロスゼロの実現に向けて利用者を増やすためにはサービスの改善が必要だと考えています。
マリアージュドゥファリーヌ仙台店丹野真理子副店長「アプリの中でのポイントカードとか、ワケルくんもったいないマルシェに出店しているお店で1個買うと1個スタンプがもらえるなど、買い回りがあって今回はこっちで買ったけど次はこっちで買おうみたいになれば、もっと知られるでしょうし、効果は出るんじゃないかなとは思う」