宮城県松島町ではカキの生産量が激減し、恒例のかきまつりが中止を余儀なくされる事態に陥っています。原因の1つが突如として大量発生したホヤの一種、シロボヤです。
毎年11月下旬に開催されている松島大漁かきまつりは、焼きガキやカキ汁などが振る舞われたり、むき身が格安で販売されたりと多く人が旬の味を楽しみます。
10月下旬、主催する磯崎地区漁業組合がかきまつりの中止を発表しました。
磯崎地区のカキ処理場では、例年であれば100人ほどの生産者がむき身の作業に追われていますが、6日はわずか10人ほどでした。カキの水揚げがほとんど無いということです。
カキの殻を覆いつくしている白っぽい楕円形の物体は、シロボヤと呼ばれるホヤの仲間です。大きさは5センチから7センチほどで、日本の沿岸では青森県から九州まで広く生息しています。
松島湾では7月ごろからシロボヤが大量発生し、養殖しているカキの殻を覆うように付着したためカキの生長が妨げられ、十分な大きさに育っていないということです。
海水温の上昇による死滅も重なり、生産量は例年の1割から2割にまで落ち込んでいます。
磯崎漁業組合高橋征信組合長「シロボヤがぽつりぽつり付いたことはあるみたいですけど、ここまで付いたのは初めてですね。カキが見えないぐらい覆われると栄養取られてカキも成長も悪くなるし、作業の手間も増えるし、重みがすごいので設備にも負荷がかかるし」
宮城県水産技術総合センターによりますと、シロボヤの大量発生は宮城県では松島湾でのみ確認されていて、原因を調査しているということです。
磯崎漁業組合では、今シーズンは十分な生産量が見込めないことから、かきまつり中止のほか毎年運営しているカキ小屋の営業も見合わせることにしました。
磯崎漁業組合高橋征信組合長「申し訳ない気持ちもありますけども、我々としても残念で仕方ないと思っています」
組合では、来シーズンはカキをお湯に一度浸し再び海の中へ戻す温湯処理と呼ばれる作業を行うなど、シロボヤが付着しない対策を検討しているということです。
宮城県水産技術総合センターによりますと、シロボヤは水温が高い海域の内湾に多く生息しているため、海水温が高かったことが大量発生の大きな要因とみていて、冬を越せるかなどを調査するということです。