生活に困っている人たちに無償で食料を配布しているフードバンク仙台が、春から野菜作りに取り組んでいます。物価高の影響などで寄付が減る中、配布する食料を自分たちで確保しようという試みです。
24日、仙台市若林区の畑にボランティアら約20人が集まりました。この畑では、NPO法人のフードバンク仙台が生活に困っている人たちに配るためのジャガイモを育てています。 伸びた雑草を取り除いたり肥料をまいたりしました。
フードバンクが自分たちで食料を生産し配布することは、全国的にも珍しいということです。
女子大学生「誰かの物を誰かに渡すだけではなく、自分たちで作ってそれを届けるという主体的な動きが尊敬というか、私もその一員として活動できることがうれしい」
主婦「とても新しい試みでみんな張り切ってやっているので、楽しい雰囲気で作業ができていますし、意義あることだともちろん思ってやりがいを感じています」
フードバンク仙台が自分たちで野菜作りを始めた背景には、貧困の広がりがあります。 コロナ禍や急激な物価高により、フードバンク仙台に支援を要請した人は、2022年度で約3000世帯6000人に上ります。 一方で、個人や企業に余裕が無くなり、2022年度に寄せられた寄付は25トンと、前の年度の45トンから半分に減りました。 野菜作りを提案したボランティアスタッフの大学院生、笠原沙織さんはこれまで普通に暮らしていた人たちがまともに食べられない飢えの状況に置かれていると話します。
笠原沙織さん「大学生とか留学生とか家を持っている人とか働いている人とか、いろんな人が来て、頼れるのがフードバンクだけなんだという人がすごく増えている。だから貧困がすごく深まっているということを日々感じます」
安定的に食料を確保するにはどうしたら良いかスタッフが議論した結果、野菜づくりを決めたといいます。
笠原沙織さん「今までのやり方以上にこういうやり方もあるんだよと。しかもそれに参加する若者が一杯いますし、今の社会をあきらめなくて良いんだ。次のステップがあるんだという希望のある取り組みでもあると思います」
畑のジャガイモは7月に収穫し、生活に困っている人たちへ配ることができるということです。