2024年の宮城県の最低賃金について話し合う審議会が始まりました。過去最大の上げ幅となった2023年に続き、どこまで引き上げられるかに注目が集まります。

 宮城労働局で1回目となる宮城地方最低賃金審議会が開催され、小宅栄作宮城労働局長から審議会の熊谷真宏会長に対し最低賃金の調査が諮問されました。

 宮城県の最低賃金は、2023年10月に時給で過去最大となる40円引き上げられ、923円となりました。

 物価高騰が続く中、春闘では賃上げの動きが活発になっていて最低賃金が更に引き上げられ非正規労働者らに波及するかに注目が集まります。

 宮城地方最低賃金審議会熊谷真宏会長「労使が納得のいく議論の上で金額を合意していただければ」

 審議会は、8月にも最低賃金の具体的な金額をまとめ10月からは新たな最低賃金が適用される見通しです。

 過去15年の宮城県の最低賃金の推移です。

 2014年度に初めて700円を超え、初の800円台は2019年度でした。2023年度に初めて900円を超えて923円となり、過去15年で261円引き上げられました。

 引き上げ額も年々大きくなっています。新型コロナの影響で経済状況が悪化した2020年度は1円の引き上げでしたが、2021年度からは28円、30円、そして2023年度は40円と過去最大の引き上げ額となりました。

 最低賃金の引き上げに労働者からは期待の声が上がる一方で、不安を抱えているのが中小企業です。経営が厳しくなると不安の声が上がっています。

 タクシー大手の第一交通産業グループです。宮城地区では正社員のほか契約社員など約600人が働いています。

 一般的なタクシー会社では歩合制度が採用されていますが、安定した収入を確保するため労働時間に応じて最低賃金をベースにした基本給が支給されています。

 観光第一交通小野寺慎太郎取締役部長「物価高なので、賃金が上がらないと全然追いついていけてないのは非常にまずいことだと思いますので、物価高と合わせながら賃金もやっぱり上がっていかなきゃいけないんじゃないかなと感じてます」

 タクシー会社では、燃料費や人件費の高騰などが経営を直撃しています。

 タクシーにはLPガスを使う車とガソリンを使う車があり、いずれの燃料も価格が高騰しています。

 LPガスの1カ月の経費は、円安に伴い前年と比べて約60万円ほど増加しています。最低賃金が前年と同じ程度引き上げられた場合、人件費は更に年間1500万円ほど増える見通しです。

 観光第一交通小野寺慎太郎取締役部長「タイヤに関してもゴムの価格も上がってるところで、タイヤの購入費も大変な今状況になってますので、それらの経費プラス人件費が高騰するっていうことにつながると、ダブルパンチのような状況になってます」