米大統領選に無所属で立候補していた弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)が23日、アリゾナ州グレンデールで行われた共和党候補、トランプ前大統領(78)の選挙集会に登場した。ケネディ氏は、トランプ氏の選挙集会に先立って、同日午前11時45分に同州フェニックスで会見を開き、選挙戦の撤退を発表し、トランプ氏の支持に回ることを明らかにしていた。大統領選で現実的に勝利する道筋が見えない中で、ケネディ氏は、「選挙戦を継続すれば、トランプ陣営から票を奪い、ハリス陣営が利する可能性がある」と述べ、選挙戦撤退の理由を説明した。

ケネディ氏は、1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領の甥にあたり、ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子となる。反ワクチン論者で、陰謀論を提唱していることで知られている。新型コロナのワクチンに関して、ケネディ氏は、「コロナウイルス・ワクチンはマイクロチップを介して人々を制御するために開発された」などと発言、物議を醸した。トランプ氏は20日、ケネディ氏が自身を支持すれば、再選した場合に要職起用を検討すると表明している。ケネディ氏は昨年4月、民主党の指名候補に名乗りを上げるが、出馬を取り下げ、昨年10月には、無所属で立候補していた。ケネディ氏の副大統領候補であるニコール・シャナハン氏は22日、トランプ政権が実現した際に、ケネディ氏が保健福祉長官として起用される可能性を示唆したことを、米NBCが報じていた。

大統領選で第3の候補・ケネディ氏撤退で、得票の期待が広がるトランプ陣営にとっては、プラスに作用する可能性もあり、ハリス副大統領(59)の勢いを抑えるかに注目が集まる。米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた21日までの世論調査の平均では、支持率はハリス氏が46・4%、トランプ氏が44・4%で拮抗、ケネディ氏は5・0%となった。ケネディ氏は、激戦州の中西部ウィスコンシン州で5%、北西部ミシガン州で5.9%、南西部アリゾナ州でも5.8%と、すべての激戦州で一定の支持率を維持する。

ハリス氏は22日、中西部イリノイ州シカゴで開催された民主党全国大会で、大統領候補の指名受諾演説を行った。ハリス氏は、「トランプはあらゆる点で重要な人物ではない。トランプ氏のホワイトハウス復帰がもたらす結果は、極めて重大である」と警告したうえで、「私は、トランプ氏を応援する金正恩氏のような暴君や独裁者に近づかない。トランプ氏を応援しているからだ。トランプ氏は、おべっかと恩恵で簡単に操れる人物だと」と批判した。これに対して、トランプ氏は自身のSNSで、ハリス氏の演説に反論し、「カマラ・ハリス同志の下には未来はない。彼女は我々を第3次世界核大戦に導くからだ。彼女は世界の暴君たちから尊敬されることは決してないだろう」と厳しく指摘した。

★ゲスト:峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所・主任研究員)、三牧聖子(同志社大学大学院准教授) ★アンカー:木内登英(野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)