子どもが1日に外で遊ぶ時間は、35年間で半分に減少しました。仙台市太白区が外で遊べる環境づくりに動き出しています。

 公園で元気に遊ぶ子どもたちの声を久しく聞いていないという人も多いのではないでしょうか。
 保護者「家にいることのほうが多いですね。外でできれば体動かしてほしいなとは思うんですけどなかなか」「自分の時は暇さえあれば外って感じだったんですけど、家だとテレビとかもあるしそういうのに頼っちゃうのもありますね」

 シチズン時計が2016年に行ったアンケート調査では、子どもが外で遊ぶ時間は1時間12分。調査を始めた1981年は2時間11分と、この35年間で半分近くまで減少しました。
 東北福祉大学教育学部教育学科山﨑敦子准教授「習い事や学習塾で忙しい子どもが増えているということで、なかなか十分に遊ぶ時間が確保できていないことと、それに伴って遊ぶ友達も減っていたり少子化で兄弟の減少ということが(要因として)考えられるかなと思います」

 更に新型コロナの感染対策で行動制限が設けられ、ゲームで遊んだりインターネット動画を視聴したりする機会が増えたことで、遊び方にも変化が現れたと考えられています。
 東北福祉大学教育学部教育学科山﨑敦子准教授「ストレスがたまったりイライラがたまったりというような精神面への影響も大いに考えられるかと思います」

外遊びの環境づくりを

 こうした中、仙台市太白区は2024年度から地域で外遊びをサポートする担い手を育成し、子どもたちが元気に遊べる環境づくりを進めています。
 初回のこの日は宮城県丸森町で子育て支援の取り組みを行う安部信次さんが講演し、子どもを持つ親や地域の支援員などが耳を傾けました。
 安部信次さん「(子どもが)自分で頑張れた感がちょっとあるともう1回やってみようかなとなるので、サポートする場合は次の意欲につながるように黒子的に対応したほうがいいかなと」

 若い子育て世帯も多く住む仙台市太白区は、今回のプロジェクトをきっかけに子育てが楽しい街づくりを目指しています。
 勉強会に参加していた太白区の上田亜沙美さんは、小学2年生の娘と4歳の息子を育てる2児の母です。
 上田亜沙美さん「押入れをベッドにしたのでそこで遊んでいることが多くて。寝っ転がって絵本を読んだりぬいぐるみを持ち込んでお家ごっこをしたりとか」
 娘の結愛ちゃん「暑いし寒い時もあるからちょっとそんなに(外が)好きじゃない。そんなに楽しくなくて帰っちゃう」
 年齢を重ねるごとに外で遊ぶよりも、家で遊ぶ時間が増えてきていると言います。

人との関わりも学ぶ

 9日に開催された2回目の勉強会の会場は、広瀬川にあるじゃぶじゃぶ池です。講師の安部さんは川での遊び方を教えるかと思いきや、子どもたちを見守るだけです。
 安部信次さん「場を設定して来るきっかけとか、後はやっているところを見せて遊び始めるきっかけを作るのが私の仕事」

 子どもたちは、徐々に興味を引き付けるものを自分たちで見つけ出していきます。これこそが安部さんが大切にしている大人の関り方です。
 池で魚を探したり、河川敷では虫を追いかけ始めたりする子どもの姿もあり、様子を見ていた上田さんも外遊びの大切さを再確認したようです。
 上田亜沙美さん「(外は)発見がすごく多いので、家の中と外だとそういうところはやっぱり違うなと思いました」

 更に時間が経つと、初めて会う人や年齢が違う子どもたち同士でコミュニケーションを取る様子も見られます。
 保護者「同じ学年の子だけじゃなくて色々な学年の子と遊べるのでやっぱり楽しそうで、こういった縦のつながりがあまりないので普段、そういったところもありがたいなと思いますね」

 外遊びは、コミュニケーション能力を育んだり創造力を養ったりすることにもつながると考えられています。
 東北福祉大学教育学部教育学科山﨑敦子准教授「仲間と一緒に遊ぶことでコミュニケーション能力、自己抑制とか他者への思いやりですとか協調性といった人との関わり方を学ぶこともできます」

 仙台市太白区では秋以降も勉強会を重ね、外遊びについて学ぶ場を提供します。
 太白区まちづくり推進課竹内信人さん「子どもを外で遊ばせたいと思っている親御さんが大勢いると思うので、その思いに応えていくことで子育てしやすい街太白を目指していきたい」