自転車並みの速度で九州を進んでいる台風10号。大分県では河川が氾濫して「緊急安全確保」が相次いで発令されるなど、緊迫した状況になっています。

■台風10号が九州横断中

 台風は、ゆっくり進んでいます。29日朝に上陸した台風10号は現在、九州を北上しています。

 今、まさに台風が進む各地。命に関わる危険な状況が迫っています。

 過去最強クラスとして接近した台風10号。午前8時ごろ、鹿児島県薩摩川内市付近に上陸し、自転車並みのスピードで北上しています。この後、四国や東海地方をゆっくり横断する恐れがあります。

 今回の台風10号は上陸する前から猛威を振るいます。

■「緊急安全確保」大分県で相次ぐ

 大分県別府市に向かった取材班。風で大きく揺れる信号機。台風が上陸する“前”の大分県。まるでホワイトアウトしたかのような町。鳥も何とか風をしのぎます。

 まだ人影も少ない街を風と雨が吹き抜けます。歩く人も傘で雨をしのぐ状況ではありません。

 別府市周辺では72時間雨量が500ミリを超え、8月の観測史上最大となりました。中心部にある別府駅も激しい雨と風が吹き荒れ、冠水しています。

 時間が経っても雨が上がる気配はありません。

 大分県由布市は暴風域に入る前から冠水しています。行き場を失ったのでしょうか、車がバックしています。

 由布市を流れる大分川は一気に濁流となり、家屋の目の前まで迫っています。

 支流の水位も午前5時をすぎて一気に上がります。午前8時ごろには越水し、1時間ほどで川の境目が分からなくなります。

 警戒レベル5にあたる「緊急安全確保」は由布市と大分県宇佐市に出されました。

 その宇佐市では車の運転もままならない状況です。止まっていてもワイパーが必要なほどの雨がたたき付けます。

 コメが品薄の折、収穫前の田んぼも稲穂の辺りまで水につかってしまっていて、池のようになっています。

 大分県日田市の温泉街を流れる川も、その表情を一変させ、濁流が押し寄せています。

ryokan天龍 大庭龍一さん 「今からまだ降る予想。(荷物を)2階に移動している」

 8月の観測史上1位の雨となった大分市。坂の途中にある会社から取られた映像では排水が追い付かず、敷地は水浸しです。

 大分市内はバンパーが見えなくなるほど冠水。小学校のガラス扉も破損しています。

 午後になり、大分県国東市でも緊急安全確保が出されました。

 朝に台風が上陸した鹿児島県。鹿児島県、大分県、宮崎県では朝、連続して線状降水帯が発生しました。

 屋久島ではトラックが横転。鹿児島県枕崎市でも50メートルを超える風が吹きました。

 鹿児島県内では船で作業していた64歳の男性が海に転落し、行方不明になっています。少なくとも23人がけがをしています。

■宮崎また竜巻か 住宅街で被害

 突風の被害もありました。

近隣住民 「屋根が吹っ飛んでいるから、びっくりしています。バシャーンッて経験したことないような大きな音でした」

 28日午後11時ごろ、宮崎市内で2回目の竜巻とみられる突風が発生しました。

 一夜明けた29日、街の様子は一変していました。

 突風によって剥がれ落ちた外壁や窓ガラスが割れてしまった車。電柱はポッキリと折れてしまっています。被害の大きさが分かります。

 周辺では停電も起きています。

BARBER NIKONIKO 山崎店長 「うちは理容室なので、電線が切れて停電でお客様の問い合わせができない。店を休んでいる。30年以上いますけど、初めてだったのでびっくりしている」

 宮崎市によりますと、この突風で少なくとも19人がけがをしたということです。