県知事のパワハラ問題などで揺れる兵庫県。来週にも県議会で、不信任決議案が可決される見通しとなっていますが、それを受け斎藤元彦知事は、議会の解散に踏み切るのではないかとの見方も出ています。過去に例のない議会解散に、大義はあるのか?当事者の県議、そして専門家に聞きました(9月14日OA「サタデーステーション」)

■斎藤知事 解散の選択肢否定せず

日本維新の会 中村大輔兵庫県議 「やっぱり潔く去るべきだと思うんですよね。民意を問うべきだと思うんですよ。自分から辞める気はないんだなっていうのは私は思いました」

“パワハラ問題”や“おねだり疑惑”で揺れる兵庫県の斎藤元彦知事(46)について語るのは、兵庫県の中村大輔議員です。

日本維新の会 中村大輔兵庫県議 「県庁の中も非常に混乱状態になっているので、今はもう残念な気持ちが強いですね」

今週、86人の県議全員から辞職要求を突き付けられた斎藤知事。このまま辞職しなければ、議会初日となる19日に不信任案が提出され、全会一致で可決される見通しです。

「(不信任案が)提出されるということになれば、法律の趣旨に基づいてどういう判断するか決めていく」

もし、不信任案が可決された場合、知事は10日以内に議会を解散するか、失職かどちらかを迫られますが…

兵庫県 斎藤元彦知事(13日兵庫県庁) 「(Q.現段階で議会解散は排除していない?)様々な選択肢を検討しているということです」

議会の解散に踏み切るのではないかとの見方も出ています。

■これまで県議会解散の事例なし

戦後、知事に対する不信任案が可決されたのは4回。

長野県 田中康夫知事(当時・2002年) 「県議会の皆さまは私の人間としての資質を問われる不信任決議を私のもとに突き付けたわけであります。1人1の有権者の方が県知事としてふさわしいかふさわしくないか、ご判断いただきたく思っております」

2001年、長野県で「脱ダム宣言」を打ち出した当時の知事・田中康夫氏が議会と対立。不信任案が可決され「失職」しますが、出直し選挙で再選しています。

しかし、議会を解散した事例はありません。選挙費用には多額の税金が投じられ、県議選で16億円、知事選で18億円かかるとも言われています。斎藤知事は、県立大学の無償化や公用車のセンチュリーを廃止するなどの実績も残していますが、兵庫県民は…

兵庫県民(14日神戸市内) 「政策面は良いなと思うことはいっぱいあって、県民に直接これはいいなというのがわかるような政策があったので、良い知事だなと思っていたので、今回はちょっと残念」

兵庫県民(14日神戸市内) 「非常に残念で。期待はしていたんですけど、ここにきて、こういう形でまだまだゴタゴタがあるので、非常に残念です。期待していた分だけ。なので、さっさと辞めればよいのになとは思います」

■維新の県議「解散するための大義なし」

3年前、日本維新の会と自民党の支援を受けて当選した斎藤知事。日本維新の会所属で兵庫県の中村議員は解散の可能性について…

日本維新の会 中村大輔兵庫県議 「(知事として)法的には様々な選択肢があるので、法律的に手続き的に進めていこうとしてるんだなと。(解散の場合)政策で対立したとか、議会も何か悪いことがあってとかなので、大義はないと思いますね、解散するための」

ただ、斎藤知事を推薦した党としての責任は感じているといいます。

日本維新の会 中村大輔兵庫県議 「維新も自民も推薦した責任がやっぱりありましたんで、そういう意味では早めに辞めてくださいっていうふうに、こう道を作ったんですけど、それでもやっぱり辞職しないということなんで。知事に辞めろって、言うんだから、私たちも辞めさせられるっていう覚悟を持ってやっぱり言わないと、それはそれで筋が通らないので。そういう覚悟を持ってやっているはずです」

■議会解散 専門家も疑問視

これまで兵庫県庁に寄せられた批判の電話は、およそ5000件。先週から特に増加し、12日は1日に200件を超えています。

県の職員 「毎日、電話対応に忙殺され、他の部署からの応援もお願いしている状況。職員はとても疲弊しています」

こうした状況に、兵庫県の元幹部は…

兵庫県の元幹部 「(職員)みんな疑心暗鬼で、一生懸命がんばろうとしているんですけど、疲れたというか、実をやはり県民にきちっとしていきたいと、皆思っている。(知事には)本当に早く“決断”してもらいたい。そう皆思っていると思う」

専門家は、今回の問題は知事の振る舞いや資質が問題視されているため、もし解散となれば、政策的な問題で議会と対立したケースとは異なると指摘します。

中央大学 佐々木信夫名誉教授 「議会を解散する大義もなかなかない。完全に自己主張を通す話に過ぎない。今回の不信任がきちんと民意を踏まえた全員一致であるとすれば、そこはやはり執行機関として、冷静に受け止めて辞任をするというのが県民県政のためではないでしょうか」

■揺れる兵庫県政 県民への影響は…

高島彩キャスター 「兵庫県議会の全会派・議員が、9月19日にも不信任決議案を提出する見通しです。今回の問題で県民や県政には、どういう影響が出ているんでしょうか」

板倉朋希アナウンサー 「地方議会に詳しい、法政大学大学院の白鳥浩教授によると『県庁に全国から苦情が殺到しているため、県庁職員の業務が滞り、県民へのサービス低下が心配』ということです。また斎藤知事は、議員との信頼関係が壊れているということで『来年度の本予算についての議論は進まないだろう』ということです。

高島彩キャスター 「議会が滞っているということで、柳澤さんはどうご覧になっていますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫 「現行法制の限界を感じます。選挙で選ばれた人を辞めさせるのは、こんなに大変なことなのかと思います。特に今回は、知事が『選挙で選ばれた』と民意を盾にとっています。今回も県議会の全86人が『知事に辞めてほしい』と要望を出しているにも関わらず、それでも辞めない。今までにも似たようなケースはあったかもしれませんが、選挙で選ばれた人を辞めさせるにはどうしたらいいのか、我々自身も議論しなければならない段階にきていると感じます。こうした問題は県知事だけではなく、国会議員の中にもなかなか辞めない議員がいました。その間、税金で給与も支払われています。こうした問題が起きたときにどう対処するのか、我々にもつきつけられていると思います」