航空機に使われるジェット燃料より温室効果ガスの削減が期待できるSAF(持続可能な航空燃料)が注目されています。このSAFを下水から作る研究がイギリスで進んでいます。

 ジェット燃料に代わる航空機用の燃料として期待される「SAF」。

 主に天ぷら油などの廃油などから作る研究が世界中で進められています。

 こうしたなか、イギリス企業がSAFの原料として着目したのが、人が生活するところならどこでも下水を処理する過程で発生する「汚泥」です。

ファイアフライ セルジオ・リマ博士 「この原料(下水汚泥)をバイオ原油に変える可能性を研究しています」

 「下水汚泥」に強い圧力と熱を加えることで“バイオ原油”が生み出されます。

 このバイオ原油を蒸留するとSAFを抽出できるというのです。

 EU(ヨーロッパ連合)は、来年から域内での航空機の燃料にSAFを2%含めることを義務付けています。

 しかし、SAFはまだ供給量が少なく、世界的に不足していて、航空運賃の値上がりにつながる可能性があります。

ファイアフライ ジェームズ・ハイゲートCEO 「(世界中に)“下水汚泥”は豊富にあり、どこでも手に入れることができます。最も楽しみなのは、この事業を世界規模に拡大し、環境に大きな影響を与えられることです。私たちのSAF燃料は化石燃料に比べて92%のCO2削減が可能です」

 下水から作るSAFは、これまでよりも安く、安定して供給できる可能性を秘めているのです。

 商業化に向けて大手LCC「ウィズエアー」が500万ポンド、約10億円の投資に乗り出しました。

 来年には下水から作るSAFの商業用精製所の建設が始まる予定で、2028年にウィズエアーにこのSAFの供給開始を目指しています。

 SAFの世界的な需要は高まる一方で、日本も2030年にジェット燃料の10%をSAFに置き換えることを目標にしています。

ジェームズ・ハイゲートCEO 「(日本は)人口密度が高く、SAFとなる原料が入手しやすいため、日本での開発の可能性にも期待しています」