14日、弾劾訴追案が可決された尹大統領、検察の任意聴取に応じなかった事が分かりました。その尹大統領の一連の問題の背景にはYouTuberの陰謀論を信じた可能性があると韓国メディアが報じています。そのYouTuberを取材しました。

■今後は身柄拘束の可能性も 韓国検察の特別捜査本部は15日、「非常戒厳」をめぐり捜査を進めている尹錫悦大統領に対して、任意での聴取を要請しましたが、大統領は応じなかったと発表しました。尹大統領は3日前、徹底抗戦の構えを見せていました。 (尹錫悦大統領)「弾劾されようが捜査されようが、私は堂々と立ち向かうつもりです」 尹大統領が今後も聴取に応じるかは不透明で、検察には身柄の拘束に踏み切る思惑があるとの見方も出ています。

「尹錫悦!大統領!国民が!守る!」 14日、ソウル中心部、尹大統領の弾劾を阻止するために集まった保守派の集会。韓国とアメリカの国旗を掲げ、天に祈りを捧げる人も…警察の推計で約4万人もの人が集まりました。 午後5時、尹大統領の弾劾が可決されましたが… (保守系YouTuber イ・ボンギュ氏)「私たちは負けていません。戒厳令の目的はなんですか?(北朝鮮の選挙介入による)不正選挙を明かすことなんです。不正選挙を明かせば、弾劾を議決したやつらに資格はありますか?国会議員ではないんです」 (参加者)「結局こうなった(可決された)ことにあきれかえっています。(野党の)民主党はもともと北朝鮮に従う勢力でしょう?」 「大統領は言うべきことを言って、国を救うために命を捧げる道に出たんです」 Q.戒厳令を出したことは? 「神の一手よ、よくやりましたよ、国を救うはずです」

弾劾可決前、尹大統領は“北朝鮮の脅威”を戒厳令の理由のひとつに挙げていました。 (尹錫悦大統領)「選挙管理委員会をはじめとする憲法機関と政府機関に対して、北朝鮮によるハッキング攻撃がありました」 一方、尹大統領らが自ら北朝鮮の脅威を煽ることで戒厳令の口実にしようとしていた疑惑が浮上しています。

■「破廉恥な挑発」 北の脅威“戒厳”に利用? 「韓国を阿鼻叫喚の状態に陥れた」 朝鮮労働党の機関紙が戒厳令に初めて言及したのは11日付の紙面。激しく対立してきた尹大統領が退陣し、北朝鮮に融和的な野党政権が誕生しそうな状況を歓迎しているとみられます。 尹大統領に「戒厳令」を進言したとされ、内乱罪の疑いで逮捕されたキム・ヨンヒョン前国防相。最大野党「共に民主党」の議員は、キム前国防相が北朝鮮との緊張を高める行動をとったと主張しています。 (野党・共に民主党 パク・ボムゲ議員)「(軍関係者に)確認した結果、実際に韓国の無人機を平壌に飛ばしていたと確認した」 北朝鮮は10月、首都・平壌の上空に韓国が無人機を侵入させ、金正恩体制を批判するビラを散布していたと主張していました。 (朝鮮中央テレビ)「韓国発の無人機による主権侵害挑発事件の調査結果が発表されました。韓国の軍事ヤクザどもの最も低劣で破廉恥な挑発の正体が一切の弁明の余地なく立証されました」 (河村聡記者)「ソウルの中心部からも風船が肉眼で確認できます。2つの風船が束ねられているように見えますね。」 キム前国防相は、北朝鮮が韓国に対して飛ばしている“汚物風船”に対しても、「警告射撃」や北朝鮮への「原点攻撃」を主張していたといいます。 (野党・共に民主党 パク・ボムゲ議員)「キム前国防相が合同参謀本部に行って『なぜ警告射撃しないのか?』と大騒ぎした」 風船の発射地点への攻撃が実施されていたら「局地戦」が起きていた可能性もあります。

■戒厳の背景にYouTuberの陰謀論? (尹錫悦大統領)「破廉恥な親北朝鮮反国家勢力を一斉に根絶し、自由憲法秩序を守るために非常戒厳令を宣言します」 尹大統領は戒厳令直後に選挙管理委員会に戒厳軍を突入させた理由について、北朝鮮によるハッキング攻撃を受けたのに調査を拒否したためだと語っています。 (尹錫悦大統領)「システム装備の一部だけを点検しましたが状況は深刻でした。いくらでもデータ操作が可能であり、ファイアウォール(安全対策)も事実上、ないに等しい状態でした。暗証番号もとても簡単で『12345』のようなものでした。民主主義の核心である選挙を管理する電算システムがこんなにでたらめなのに、果たして国民が選挙結果を信頼できますか?」 4月に与党が大敗した総選挙について、韓国の複数の“保守系YouTuber”が「北朝鮮によるハッキング攻撃で不正選挙が行われた」と主張していました。 (コ・ソングク氏)「選挙管理委員会のサーバーにハッキングで入って、この選挙不正が行われたという疑惑が絶えず提起されている」 (コン・ビョンホ氏)「電算操作を行い実物に似せた投票用紙を投入したとみられます。(投票箱に)入れるのを直接見ていないので、単なる推論ですが…」 14日、保守派のデモで登壇し弾劾可決を嘆いていた保守系YouTuberも… (保守系YouTuber イ・ボンギュ氏)「後ろを見てください。この方たちは戒厳令が正しいと思ったから出てきた方たちです。戒厳令は必要だった。戒厳令がないと不正選挙は絶対に明かすことができない。尹大統領は数カ月は苦しいと思いますが、のちに不正選挙を明かした英雄にもなりうると思っています」 韓国メディアは保守系YouTuberが唱える陰謀論を尹大統領が信じた可能性があると報じています。ソウル市民は― 「韓国の(選挙)システムはそんなに甘くないと思います。自分が起こしたことに対する言い訳にすぎないと思っています」

弾劾可決で尹大統領が職務停止となったことでハン・ドクス首相が権限を代行します。 尹大統領は「最後の瞬間まで国のために最善を尽くします」とコメントしています。

12月15日『有働Times』より

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