岐阜県関市の「ご当地映画」を巡って対立が深まっています。市が2000万円の補助金返還を求めるなか、4日に映画の制作会社側が会見を開き、徹底抗戦の構えです。
■“ご当地映画”トラブル 対立深刻
映画をみた人 「見てみたら明らかにおかしいなというところがあって。特にひどいなと思ったのが、ビール置くじゃないですか。ビール置いて1秒くらい過ぎた後に、『ガチャン』と音が鳴ったり」 「台本は…チャットGPTで書いたという感じで色んな情報が流れているが、そんな感じ」
鑑賞したのは今、話題の映画。主演俳優までもが…。
「名もなき池」主演俳優 伊達直斗さん(59) 「(作品が)変なものになっていると汚点になるんですよね、演者は」
そんななか、監督兼プロデューサーが会見です。
「名もなき池」監督・プロデューサー 新原光晴氏 「最終的にこれをなんとか海外に持っていって、本当の形でPRできるところまで持っていきたいと思う」
先月28日に淡路島、29日に愛媛県で公開された「名もなき池」。タイトルは舞台となった池の名前と同じです。
実は、その「名もなき池」がある岐阜県関市が映画の制作会社とトラブルになっていました。
山下清司市長 「納税者の皆様、そして関わった皆様には混乱をきたしておりまして申し訳なく思っております」
関市はおととし、観光客の誘致を目指してご当地映画の制作を公募。採用されたのが名もなき池でした。関市は、この映画を企画した兵庫の会社に補助金2000万円を交付しました。
ですが、先月21日、関市から200キロ以上離れた兵庫の淡路島で行われた試写会に観客はゼロ。
「名もなき池」主演俳優 伊達直斗さん 「ギャラ(出演料)が半分しか支払われていない。『残りのギャラはクラウドファンディングしないと難しい』と言われた」
出演料が支払われないなどのトラブルも。市は一定期間、複数の映画館で上映するなどの交付条件を満たさないとして、補助金の全額返還を求めています。
■制作会社「根拠ない」徹底抗戦
今月4日、会社側が開いた会見では…。
制作会社側 代理人 錦見輔弁護士 「返す法的な根拠がない。関市の言い分もあると思うが、我々としては返す根拠がない」
関市が補助金の取り消し理由として主張する期限内の「4週間以上の上映」が守られなかったことについては、そもそも契約内容になかったと会社側は主張しています。
制作会社側 代理人 錦見輔弁護士 「令和5年(2023)プレゼン時に関市に対してそもそも海外の映画祭に出品して賞を獲得し、国内公開について考えていく、海外公開先行タイプ、いわゆる凱旋(がいせん)興行とプレゼンしていた」
海外映画祭後に国内で上映するとして、関市からは事前に了承を得ていたとしています。突如、今年3月末までの上映を求められ、編集作業も監督自身が行う事態になったということです。
関市が設定した補助金の返還期限は今月15日です。会見を受け、市は「弁護士と相談・協議しながら対応していくので現時点でのコメントは差し控える」としています。