世界経済を揺るがしているトランプ関税の背景と今後の見通しを考えるセミナーが、仙台市で開催されました。

 ジェトロ仙台が開催したセミナーには、宮城県の企業や自治体などから約50人が参加しました。

 講師は、アメリカの通商政策の調査を担当している職員です。

 ジェトロ米州課磯部真一課長代理「1月20日に政権交代が起こりトレンドがガラッと変わったということでございます」

 トランプ政権は、安全保障や不法移民などアメリカの外交上のあらゆる問題で関税を使って圧力を掛けて相手国に要求をのませようとしていると指摘し、アメリカの企業からもトランプ大統領への批判が出ていることを紹介しました。

 ジェトロ米州課磯部真一課長代理「おそらくトランプ政権としては、関税政策のアクセルをとりあえず踏めるだけ踏むような状況になっていくのかなというところであります」 トランプ大統領が、年内いっぱいは今の関税政策を続けるとの見通しを示しました。

 一方で、関税によってアメリカ国内の物価が上昇してしまうと2026年の中間選挙で支持率を保てなくなるため、関税を据え置くシナリオも考えられるとの可能性にも触れました。

 ジェトロでは、トランプ関税についての日本企業向けの窓口を設置して、相談を受け付けています。

 トランプ関税は、宮城県企業への影響も懸念されています。

 民間の調査会社東京商工リサーチが、宮城県企業を対象にアメリカの関税引き上げについてアンケート調査しました。

 その結果「業績に少しマイナスの影響」と答えた企業が31.1%「大いにマイナスの影響」と答えた企業が22.6%で「マイナス」とした企業は全体の半数を超えました。

 プラスになるとした企業は計3.8%にとどまり、規模や産業を問わず経営へのダメージを懸念する企業が多くなっています。

 こうした経済の先行きに対する懸念から注目されているのが金、ゴールドです。

 仙台市太白区のる貴金属やブランド品買い取り専門店、エコリング南仙台店では、金の買い取りを依頼する客が急増しているといいます。

 エコリング南仙台店冨田遼介店長「3月から4月で売る方自体は1.8倍で、買い取り金額で2.2倍位に上がりましたね。41人が75人まで。228万から505万っていう数字」

 大手貴金属会社が発表している金の店頭小売価格は17日、1グラム1万6885円となり過去最高値を更新しました。

 世界経済が不安定な状況下で、安全な資産とされる金の需要が高まり価格が上昇しているのです。

 エコリング南仙台店冨田遼介店長「社会的信用の不安が多いと、金に投資する方が増えたりとか金に注目が集まる。物として置いておける物に注目が集まる。注目が集まった時点で金の価値が安定しやすいと」

 価格の上昇を受け、手持ちの金を売りたいと多くの人が店を訪れているということです。

 エコリング南仙台店冨田遼介店長「金の価格を見ながら今いいんでしょということで持って来られるのと、調べるだけでも持って来ていただいたらお役には立てると思いますね」