新型コロナの影響で生活が苦しくなった人に、国が無利子でお金を貸す仕組みがあります。返済期限はまだ先にもかかわらず、既に返せないと自己破産する人が相次いでいます。
国は2020年3月、新型コロナの影響で失業したり、収入が大幅に減ったりした人を対象に特例の貸付制度を設けました。
最大20万円の緊急小口資金と、最大60万円を3回まで貸す総合支援資金があり、いずれも市区町村の社会福祉協議会が無利子・保証人無しでお金を貸す仕組みです。
緊急小口資金は2年以内、総合支援資金は10年以内に返済が必要ですが、返済の期限を待たずに返せないと自己破産する人が相次いでいます。
県の社会福祉協議会によりますと2021年度、県内の自己破産件数は68件でそのほとんどが返済期限に至っていませんでした。
貧困問題に詳しい太田伸二弁護士は、この状況を次のように分析しています。
太田伸二弁護士「社会福祉協議会の貸し付けというのは、相談者の方からの聞き取りを行ったうえで丁寧に対応して貸し付けを行うものだと理解しています。ただ今回のコロナの特例の貸し付けでいうと、そういったことができないくらいの圧倒的な申し込みがあって、その中で貸し付けを行ったため、返せるかどうかのチェックが難しかったんだと思います」
社会福祉協議会によりますと、県内での貸付件数は約4万3000件、総額は162億円以上に上っていて、自己破産した人の多くは以前から他に借金があり多重債務の状態だったとみています。
太田弁護士は、支援策として給付制度の充実を求めています。
太田弁護士「一定程度の支給し過ぎは起こりえると思います。しかしそれを完全に無くそうとすると、本来届くべき人に届かなくなるという問題もあります。そこはバランスですが、一定程度の支給し過ぎというのは、許容しながら制度を作らざるを得ないし、そこは私たちも理解しなければいけないところだと思います」