新型コロナワクチンを接種後、長引く体調不良に悩まされている人たちがいます。ワクチン後遺症の実態です。
ワクチン後遺症患者(岩手県在住)「私は2021年10月のコロナワクチン1回目でアナフィラキシーになり、その日から毎日ずっと体の不調が続いています」
7月に仙台市青葉区で開かれた新型コロナワクチンの後遺症について考えるシンポジウムです。接種後の体調不良に苦しむ東北患者の会のメンバーらが、被害者の救済が進まない現状を訴えました。
ワクチン後遺症患者(岩手県在住)「苦しい思いをしている被害者が、全国にはたくさんいるのだという事実をどうか知って欲しいです」
東北患者の会のメンバーの1人、秋田県に住む古谷由美子さん(42)です。2022年4月に3回目の新型コロナワクチンを接種した後から、1年以上にわたってさまざまな体調不良に悩まされています。
古谷由美子さん「何があるか分からないから『打ちたくない』って会社に言ったんだけど、会社の方で『打たないんだったら会社来るな』って言われたので、それで打ちました」
接種後に指の痺れや肩の痛みが現れ、しばらくすると足に力が入らなくなりついには立てなくなりました。
病院に行くと、血液中のカリウム濃度が低下する低カリウム血症と診断されました。薬を飲むなどして立てるようにはなりましたが、今度は右肩が激しく痛み動かせなくなりました。
そして、接種から5カ月が経った頃には。
古谷由美子さん「心臓発作で救急搬送されて入院したんですけど、精密検査受けても全く問題ないって」
ワクチンを接種する前は持病もなく、健康だったという古谷さん。複数の病院で何度も検査をしましたが、異常は見つかりませんでした。
古谷由美子さん「『ワクチンのせいですか』って(病院で)聞いたら、『絶対にありえない』って言われて、『あなたの生活が不摂生だからこういうふうになったんだよ』って言われたんだけど、同じ生活を15年くらい続けてるのに急にそうなるわけないって」
リハビリをして右肩の症状は改善しましたが、現在は左腕が痛み十分に動かせない状態です。明確な原因は分からず、今も服薬や治療を続けています。
古谷由美子さん「これ以上(左腕が)上がらないんですよ。なので、必ず1回ごとに(食器を)置いて(右手に持ち替えて)こうやるってすごい時間がかかるんです」
着替えや髪を洗うことも一苦労で、腕の痛みにより朝起きることもままならず、接種後から仕事を休んでいましたが職場の理解は得られませんでした。
古谷由美子さん「『腕縛って来れば良いでしょ』って言われて。『ずっと仮病で休まれても困る』って『仮病で休んでるんだったらもう辞めてくれ』って言われて辞めました」
大学生と小学生の子どもがいる古谷さん。体が自由に動かない状況で仕事ができるのか、不安は尽きません。
古谷由美子さん「そこの職場でちゃんと最後まで働いてっという人生設計があったから家を建てたのに、いつ住宅ローン払えなくなるかも分からないし、子どもにも負担かけちゃってて」
国の救済制度では、ワクチンの接種後に障害が残ったり死亡したりした場合にその健康被害がワクチン接種によるものと認められると、医療費や死亡一時金などの給付が受けられます。
厚生労働省は、7月26日までに全国の自治体を通じ8302件の申請を受理し、このうち認定されたのは3534件です。
発熱や急性アレルギー反応、関節痛、脳梗塞、めまい、意識障害など症状は多岐にわたります。
古谷さんは申請に向け、診断書やカルテなど必要な書類を集めていますが、体調が優れない中での準備が困難な上、申請までの高いハードルにも直面しています。
古谷由美子さん「(医者が)ワクチン後遺症とは書きたくないので、認めてないのでカルテの開示もしないし『診断書も書かないです』って言うので何回かやりとりしたりして、(1つの病院の)カルテだけで400ページぐらいあって、そのカルテ開示だけで2万円とかかかっちゃって」
自らが発信することで、同じように苦しんでいる人たちの力になりたいと話す古谷さん。5月に設立された東北の患者の会に参加し、患者からメールなどで寄せられた相談に応じています。
古谷由美子さん「ワクチン後遺症が広まってほしい。ちゃんと周知されてほしい。(国は)本当はたくさんの人が苦しんでるっていうそこを認めてリスクとしてちゃんと伝えてほしい」