宮城県で最も人身事故の多い交差点について取材を進めると、事故が多い理由が見えてきました。
小笠原侑希記者「危ない危ない、ぶつかるところだった今。衝突寸前です」
仙台市太白区郡山の鹿の又交差点です。国道4号から、北西に向かうと仙台市中心部へ。反対方面には仙台南部道路の長町ICがあり、交通量は宮城県随一です。特に通勤通学の時間帯は、多くの車や自転車などが行き交い事故の危険が増します。
「車にひかれたことあります。車にひかれました」
「たまにあるんですよ、歩行者が来ているのにもかかわらず一時停止を無視って」
鹿の又交差点は、日本損害保険協会によると2022年に発生した人身事故は10件で8年連続でワーストだった仙台市若林区の六丁目交差点を上回り、宮城県で最も人身事故が多い交差点となりました。
小笠原侑希記者「現在午前7時です。通勤通学の時間帯ということもあり国道4号はかなり混みだしていて、早くも渋滞が始まっています」
目につくのが交通量の多さです。仙台市の調査によると、午前7時から午後7時まで鹿の又交差点を通過する車の数は約6万台。単純計算で、1秒間に約1.5台の車が通過していることになります。
朝と夕方には慢性的な渋滞も発生していて、交通量の多さが事故につながっているという声が聞かれます。
「交通量が多く、曲がりが多いので歩行者を見落としたりとかはあるのかなと思いますね」「ガシャンガシャンって聞こえる度に、何かあったのかなと見に行きますけど」
元宮城県警の警察官で、交通事故の遺族などから相談を受け調査を行っている日本交通事故調査機構の佐々木尋貴さんは、事故が多い理由の1つに交通量を挙げます。
日本交通事故調査機構佐々木尋貴代表取締役「車だけではなく歩行者とか高速から降りてくる車とか本当に主要な交差点ですので、速度が速いということに加えて交通量が圧倒的に多いというのが、やはり事故が多くなる要因にはなっていると思います」
鹿の又交差点で特徴的なのが、左折車用のレーンです。交差点で左折ができる4カ所のうち3カ所に信号はなく、一時停止の標識があります。実際に車で走行すると、左折後に突然一時停止の標識が現れる印象があり、停車が間に合わない恐れがあります。
一時停止をしなければ違反ですが、実際に、ここでは停止をしない車が多く見られます。
小笠原侑希記者「今の車、しっかり一時停止を止まらずに走行していましたね」
歩いたり自転車に乗ったりして鹿の又交差点を通る人からは、横断中に危険な経験をしたという声が多く聞かれました。
「自転車で通れるはずだったんですけど、一時停止しない中型のトラックが一瞬で目の前通り過ぎて、タイミングずれたら絶対私ひかれたよなって」「長町ICの方から止まらずにずっと走ってくる車が、いましてその車にひかれました」「あまり通らないようにしている、必要以上に」
取材中にもあわやという場面に遭遇しました。
小笠原侑希「危ない危ない、ぶつかるところだった今。衝突寸前です」
一時停止で止まっていたトラックの前に、死角から飛び出してきた自転車が。トラックがしっかり止まっていなかったら、衝突しかねない場面でした。
佐々木さんは、車が左折する際に事故が起こりやすい理由について、道路の構造が影響している可能性があると指摘します。
日本交通事故調査機構佐々木尋貴代表取締役「信号機で規制を受けないのでそのまま左折していいなと、そのまま入っていっても急に止まれの標識で止まらなくてはいけないので、そうすると後続の車両とか突然止まられ追突してしまったり、接触とかの事故が増えてしまう。注意力が運転以外のことに一瞬でも向くとき、その時っていうのは非常に危険なんですね」
小笠原侑希記者「色々な原因で事故が起きているので一概には言えないのですが、ドライバーから見ると鹿の又交差点では信号が青なので左折したら急に一時停止の標識が現れるという印象を持ちます。初めて通行するドライバーは、標識に気付くのが遅れたり見落としたりしかねないと思います」
「交通事故鑑定人の佐々木さんが言うように、交通事故の多い交差点では様々な要因が複合的に重なっていると思います。ドライバー、歩行者や自転車に乗る人などが交通安全に努めるのはもちろんですが、警察や行政もなぜ事故が起きるのかをより詳しく分析し改善していく必要があると考えます」