東日本大震災で児童と教職員計84人が犠牲になった宮城県石巻市の震災遺構大川小学校などで、新任の教職員を対象とした防災研修が行われました。

 震災の教訓を伝えていこうと宮城県教育委員会が3年前から行っている研修は4カ所で行われ、このうち大川小学校には約120人の新任の教職員が参加しました。

 当時小学6年生だった次女を亡くした元教員の佐藤敏郎さんが、どんなことがあっても
子どもの命を守ってほしいと訴えました。

 佐藤敏郎さん「救ってほしかった命があって救いたかった命がある。それは簡単に救えた命です。でも事実として結果として救えなかった命になりました。頑張ったから仕方がないとか、かわいそうだから辛いからもうやめようとやめてしまったら、あの日の子どもも先生の命も無駄になる。絶対に未来につなげなければならないと思っています」

 その後、大川小学校で当時6年生だった長女を亡くし、現在は石巻市の中学校で校長を務めている平塚真一郎さんが講話しました。

 平塚真一郎さん「教員という仕事は未来をつくる仕事です。防災も未来をつくることです。ここに携われることを誇りに大切に思いながら、これから過ごしていきたい」

 石巻市立蛇田中学校遠藤怜那教諭「自分が守られる側だったことが、守る側に立場が変わったことを強く感じた。当時の状況をどのように伝えていくのか、そこから得られたものを伝えていくにはどうしたらいいかを考えた」

 田尻さくら高校江嵜隆太郎教諭「授業はもちろん学校生活のあらゆる場面で、生徒はどう思っているのかということを考えたうえで、生徒が自分で考えて行動にまでつなげられるようにしていきたい」

 仙台市若林区の震災遺構荒浜小学校には212人の新任教職員らが訪れ、当時の校長川村孝男さんらから被災当時の教職員の様子などを聞きました。

 川村孝男さん「各所教室には先生方と子どもがいる。一斉に連絡することが一番簡単なのが訓練で使っていた校内放送なんですね。それが停電で全く使えなくなった。訓練はしていて良かったけれど、訓練通りにはならないことがたまたまそういう時に起きてくると思っています」

 川村さんは、日頃の訓練も大切にした上で、夜間や長期休暇中など様々な場面での災害対応を考えておいてほしいと話しました。

 視覚支援学校小学部五十嵐菜々美教諭「津波の高さがどのくらいなのかというのも見て実感したし、教師自身が防災教育に対してしっかり知識や技能を身に付け、子どもたちの命は絶対に守るという強い思いを持たなければいけないなと感じました」