政治資金規正法の改正のきっかけとなったのが安倍派などの裏金問題です。18日、安倍派の会計責任者の被告人質問が行われ、キックバックの再開について、これまで幹部ら4人が政倫審などで説明してきたことをくつがえすような証言をしました。

安倍元総理の死後に開かれた、おととし8月の幹部会合。その後のキックバック再開に至るキーポイントとされてきました。その場にいたのが安倍派の“金庫番”松本淳一郎被告(76)。唯一の事務方は18日の裁判でこう証言しました。

松本被告 「令和4年7月ごろ、末だったと思う。ある幹部から『ある議員が還付してほしいと言っている』という話があった」

“ある幹部”とは誰だったのか。18日の公判では明らかになりませんでした。そのうえで…。

弁護側 「(還付再開の)要望を受けてどうした?」 松本被告 「塩谷会長代理に幹部を集めていただきたいとお願いし、下村先生、西村先生、世耕先生、塩谷先生と私が集まった」

その場にいた4人の議員は、こう説明してきました。

西村康稔前経産大臣 「『返してほしい』という議員の声をどうするかと。結論が出ないままに、私自身は8月10日に経産大臣になった。その後はこの還付の話、資金の話は一切しておりません」

塩谷立元文科大臣 「困っている人がたくさんいるから、それでは継続でしょうがないかなと。そのくらいの話し合いの中で(還付が)継続になったと」

キックバック再開を誰がどう決めたのか分からないという発言も…。

下村博文元文科大臣 「8月5日に還付の継続は決めていない。決まらなかった。しかしその後決まった。どこでどんな形で決まったかは、私自身はまったく分からない」

世耕弘成前参院幹事長 「誰がこんなことを決めたのかは、本当に私自身はっきり言って知りたい」

この会合では再開は決めていないとした政治家4人。しかし18日、松本被告は異なる認識を示しました。

弁護側 「結論は」 松本被告 「いろんな議論をしたうえで、結論というか方向性は還付しようと」 弁護側 「方向性?」 松本被告 「決定です」 弁護側「還付の再開が決定?」 松本被告 「はい」

さらに、会合後についても、こう証言しました。

弁護側 「周知をした?」 松本被告 「はい。幹部4人が会員(議員ら)に連絡を取った」 弁護側 「その報告は松本さんに?」 松本被告 「はい」

4人がそれぞれ、キックバックの再開を派閥の議員らに伝え、松本被告に報告をしていたというのです。

弁護側 「松本さんの判断で還付の決定は可能?」 松本被告 「それは不可能です。事務局の私が独断で『還付します』とは言えない」

会合で再開が決まったという松本被告の証言について、塩谷氏は「そういうことではない」と説明。西村氏と下村氏の事務所は「政倫審などで説明した通りです」などとコメントしています。