撤退圧力が増すバイデン大統領。ウクライナ支援について協議するNATO=北大西洋条約機構の会合で、侵略を受けている側の名前を、侵略している側と間違える失態を演じます。

アメリカ・バイデン大統領 「決断力と勇気を兼ね備えたウクライナの大統領“プーチン大統領”です。プーチン大統領?プーチン大統領を倒すゼレンスキー大統領です。プーチン打倒に集中しすぎてしまった」 ウクライナ・ゼレンスキー大統領 「私のほうが“上”です」 アメリカ・バイデン大統領 「ずっと“上”だよ」

この発言の2時間後に行われた記者会見。当然、厳しい質問が向けられます。

アメリカ・バイデン大統領 「(Q.ゼレンスキー大統領を『プーチン大統領』と言い間違えた件で…政府関係者は『衰えが顕著』」と指摘。アメリカの評価を損なうのでは)この会議を大成功させたのに、私の評価が落ちると思うかね?(Q.選挙戦継続なら、ご自身が言う“大統領に不適格な男”に負けないか)選挙戦継続は、功績のためではなく、職務を全うするためです。衰えて職務を遂行できなくなったら、撤退すべき兆候ですが、まだその前兆すらありません」

撤退を改めて否定したバイデン氏。しかし、この会見でもやってしまいました。

アメリカ・バイデン大統領 「(Q.代わりにハリス副大統領が出馬することになったら、トランプ前大統領に勝てるか不安は。)“トランプ副大統領”に大統領を務める資質がなかったら、彼女を副大統領に選んでいない」

自分の腹心をトランプ氏と間違えるという、この日、2つ目の失態を演じてしまいました。

会見終了からわずか3分後、影響が表面化します。

民主党内から、新たに撤退を求める議員が出ました。

“撤退派”に転じた民主党・ハイムズ下院議員 「心苦しいが、声明を出したのは、勝利の道筋が見えないからです。あなたが賭けているのは、ご自身の政治的評価だけではない。アメリカの未来をも賭けているのです」

ハイムズ議員を含め、会見終了後、“撤退派”に転じた民主党議員は7人増えて、20人となりました。今後、さらに増えるとみられます。

CBSは、48時間以内に数十人の民主党議員が、撤退を求める声明を出す予定とも報じています。

ただ、バイデン氏をひきずりおろすには、本人の意志で撤退を表明することが必要です。その判断に大きな影響を与えるであろう大物2人が、動き始めたかもしれません。

CNN 「オバマ元大統領とペロシ元下院議長が、ひそかに今後の大統領選について話し合った。バイデン氏がトランプ氏に勝つことが、どれほど難しくなったか懸念を表明した。2人ともどうすべきか考えあぐねている」

民主党は、ほかの重鎮ではバイデン氏が説得に応じないだろうとみていて、オバマ氏、ペロシ氏のどちらかに助けを求めているそうです。

ニューヨーク・タイムズ紙 「バイデン大統領の長年の側近たちは“再選放棄”という痛みを伴うものの、避けられない決断が必要になると確信した。ここ数日、側近たちは、バイデン氏に身を引くよう説得する方法を模索中だ」